マクロスF
0734話
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いた途端、シェリルの顔に笑顔が浮かぶ。ただし、ニコリではなくニヤリと表現すべき笑みだ。
「へぇ……アクセルってばあたしの事を心配してくれたんだ」
「ああ、当然だろ」
「当然なんだ」
「ああ、当然だ」
「……そう」
何故か同じ事を2度繰り返し尋ねてきたその言葉に返して、照れかあるいは羞恥でその頬が赤く染まる。そしてどこか潤んだ瞳をこちらへと向け……
『アクセル大尉、任務よ』
部屋にある映像モニタが起動し、そこにキャサリンの姿が映し出される。
幸いベッドは見えないようになっているのでシェリルが見つかる心配は無いが、それでも一応声を出さないように合図してから言葉を返す。
「任務? こんな急にか?」
『ええ、緊急のオーダー』
そう告げてくるキャサリンの表情は真剣そのものだ。いや、ちょっと焦りの色もあるか?
「内容は?」
『ランカちゃんの歌の効果を確かめる為に、バジュラが潜んでいると思われる場所に出撃して貰うわ』
「……待て。ランカの歌については俺達が生け捕りにしたバジュラがいただろ?」
ランカの名前に息を呑むシェリルを横目に尋ねるが、戻って来た答は無言で首を振るというものだった。
『安全な場所でただ歌っているだけでは効果が無かったの。実際に戦場で歌ってこそ効果を発揮するというのがグレイス・オコナーの進言よ』
グレイスの名前に、更に息を呑むシェリル。
「それは無茶以外の何ものでもない無いだろ。ランカは民間人だぞ? それを戦場に連れて行って歌えと?」
『歌についてはカナリア中尉の機体に乗せるから、VFよりも安全度は高い筈よ。……これに関しては、上からの直接の命令なの。幾らアクセル大尉に不満があっても覆る事は無いわ』
上から? 大統領からなら直接そう告げるだろう。となると……キノコとグレイスの進言をグラス大統領は黙認といったところか。
「……しょうがない、了解した。すぐに出撃の準備を整える」
『ええ、お願い。……アクセル大尉、ランカちゃんの事を……お願い』
その言葉と共に通信が途切れ、部屋には俺とシェリルの沈黙のみが存在していた。
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