暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
マクロスF
0734話
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.Sへの帰り道を急いで公園の中を通り過ぎ……ようとしたところで、ピタリと足を止める。
 視界の先、ベンチの背に寄り掛かっている1人の女の姿を発見したからだ。一応外に出るという事で変装のつもりなのか、いつか見た帽子とサングラスを身につけいる。だが、ストロベリーブロンドのその髪が誰のものなのかは見間違えようが無かった。即ちそれは……・

「おい、シェリル! いないと思ったらこんな場所にいたのか!」

 そう。俺が探し求めていたシェリル・ノームだったのだから。
 意識が朦朧としている様子のシェリル。……本当に、もし変な奴にこんなシェリルが見つかっていたらと思うと、ぞっとするな。

「何よ。……あたしは、平気。歌えるわ。あたしはシェリル、シェリル・ノームなんだから……」

 こんな時にも歌、か。つくづく音楽の申し子とでも呼ぶべき女だ。

「ほら、とにかく病室に戻るぞ」
「嫌っ!」

 俺がそう口にした時のシェリルの反応は劇的だった。シェリルの肩に触れていた手を思いきり弾き飛ばしたのだから。
 身体が弱っている病人とは思えない程の力で。
 にしても、病院は駄目か。医者から検査結果は問題ないのに、それでも入院しているように言われたのが堪えたのか?

「なら、ホテルは……」
「ホテルも嫌! あたしは閉じ込められたくないの!」

 ホテルも駄目、か。
 意識が朦朧としている状態でも拒否をしてくるんだから、心底嫌なのだろう。

「あたしは……歌を……」

 最後にそう呟き、それ以降は完全に気を失ったのかピクリともしなくなる。
 ……さて、どうするか。あの医者の事を考えると、確かにこのまま病院に戻すのは危険だろう。見るからに何らかの病気を罹っているにも関わらず、検査の結果身体に異常はないの一点張りだったからな。そうすると、グレイスの手が回っていると思われるホテルも同様の理由で却下。
 にしても、グレイスからのシェリルに対するフォローが無いってのはどうなんだろうな。ここまで一緒にやって来たんだし、シェリル・ノームという名前と肩書きはグレイスにとっても有用な筈だ。いや、ブレラ・スターンという戦力を手に入れたのを考えるとそうでもないのか? 
 それでもシェリルを切り捨てる意味は何だ? ……切り捨てる? 切り捨てる必要が出来た? 何故? それはつまり、より有用な何かを見つけたから……か?

「ん……アクセル……」

 考えに熱中していたが、シェリルの声で我に返る。
 にしても、どうしたもんかな。病院もホテルも無理となると、どこか他のホテル……いや、そうなるとシェリル・ノームが来たって時点で騒ぎになるか。となると、やっぱり……

「俺の宿舎しかない、か」

 ただ、宿舎も宿舎で気を失っているシェリルを運んでいる
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