第一
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「う・・・・・・・・・・・・・・・ん・・・・ん?」
シャガルが目を覚ましたのは、深い森の中、巨大な一本の木の下だった
その、崇拝の対象でさえありそうな巨躯の根に、抱かれるかのように横たわっていた
「これは・・・・成功なのか?それに、この木・・・」
シャガルは、複写眼―アルファ・スティグマ―でその巨躯を仰ぎ見た
複写眼は、魔力をその目で捉えるだけでなく、その解析、複製を可能とする魔眼
その解析の力は、魔法の伴った道具であったり、何らかの力を持ったものを見分け
ることもできる。魔法の存在する世界で、利便性で言えば最高かもしれない。
『これは・・・膨大な魔力を持っているな。しかも・・・』
「ああ、魔力の流れに意思を感じる。初めて見るな・・・」
その木は、保有する魔力が膨大なだけではなく、その魔力の中に意志を持ってい
た。
そもそも、魔力というのは生物全てに保有されるものであり、それは植物とて変わ
らない。
雑草一本にしても微弱ながら魔力を保有しているし、ましてや、これほどの巨躯へ
と成長するまでの年月を持ってすれば膨大な魔力を保有すること自体は不可能では
ない。
が、その魔力を意思を持って操るというのであれば、話は違う。
(動物が魔力を扱うのは一度だけ見たことがあるが、植物もそれができるとは)
魔力を操る、ということはすなわち意思を持つということである。
『ふん・・・この膨大な魔力、そして意思を持つこの樹木。未完成でどこへ飛ぶかわか
らない転移魔法・・・。お前は、この樹木の魔力に吸い寄せられたのかもしれないな』
「あぁ、理屈はわからんが、偶然とは思い難いしな。ただ・・・」
シャガルは、ふとその幹に手を触れ、投げかけた
「お前は、その意思で俺を呼んだのか?それとも、膨大な魔力がそうさせただけか?」
『ふん、仮にも植物。反応はできんようだな』
確かに、その幹や枝は、風に揺れるだけで何も返事はしない
「ああ、ちょっと試したかっただけだ。特別な植物だろうしな」
周りを見渡してみても、類似したものは見つからない。
「しかし、これからどうするか。このままだと飢え死にじゃないかな」
『動物など、いくらでも狩れるだろう。ただ、この辺りには動物は見当たらんよう
だがな』
「ああ、代わりに、人間は近づいてきてるぞ」
シャガルはある方向を向いて言う。
人間がいるということは、つまり無人の世界ではまずないということだ。
さらに、この感じ。
ひとりの人間が複数人に追いかけられていることを考えると、何らかの知能はある
だろう。
「とりあえず、行くか。なにかわかるだろう」
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