群雄割拠の章
第3話 『どうしてこうなった』
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なにいるのか?」
「いえ……正直、兵の調練が追いついていません。故に、ほとんどいるだけですな……」
「無駄じゃん……」
聞く限り、白蓮が極度の馬好きであり、自身の兵にできるかぎり騎兵の推奨するのだそうだ。
けど、騎馬兵になるには騎乗せねばならず、その上で武器を使えなければ意味が無い。
それが今までは大変難しく、騎馬兵が思うように増えない原因だったそうだ。
「ですがこの鐙と鞍があれば、多少の訓練をすれば馬上で剣を振るうこともできるでしょう! まさしく御遣い殿ですな!」
「だからそれやめろって。覚えてないんだし、俺はただの盾二でいいよ」
その名前だって本当にそうなのかも疑問なんだから……
「あ、失礼しました。その、未だに何も思い出せないので?」
「うーん……いらん知識は山ほど思い出せるけど、どうしてそれを知っているかがわからない。自分が本当に北郷盾二って名前なのかも、な」
結局自分が本当に『北郷盾二』という人間なのかもわからない。
白蓮が言っていた『桃香』とか言う人のこともだ。
けど、俺をよく知る白蓮――公孫賛がそう言っている。
しかも、俺の力のことや、能力のことまで俺以上に知っていて、事実そのとおりだった。
この一月、内政や軍部のことなど意見を求められ、その度に『さすが盾二だ』と褒められる。
そんなに難しいことは言っていない。
ただ、何故か『こうしたらいい』という知識が頭の中にあり、それをそのまま伝えているだけだ。
今では、ほとんどフリーハンドで好きなことをやらせてもらっている。
白蓮いわく――『盾二なら何をしても役に立つことしかしないだろう』とのこと。
まあ、一宿一飯ならぬ好き勝手やらせてもらって結構な金ももらっている手前、出来る限りのことはしようとしているけど……
というわけで、とりあえず騎馬兵が多いので、せっかくだから『鞍』と『鐙』というものを提供してみたんだが――
「大変ですな……いえ、失礼しました。訳知り顔で言うべきことではありませんでした」
「いいよ。思い出せないのは俺の頭だし。んじゃ、次はこの壺鐙を試してみてくれ。輪鐙より足元の保護や固定にいいと――」
新作した壺鐙を取り出して、付け替えようとしていると――
「盾二殿ーっ! 太守様がお呼びです! 至急、王座の間に来てほしいとのこと!」
「……と、やれやれ。じゃあ、そういうことだから。これ、試して後で感想教えてね」
「はい! お疲れ様です、御遣い殿!」
「だから、それやめろっての……」
俺はその騎兵に壺鐙を渡し、後を任せる。
その足で王座の間に入ると――
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
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