第二章
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第二章
第二章 一人を選ぶ
ケムルはだ。ジャアファルに大して答えた。
「じゃあ一人にするよ」
「生涯の伴侶とされますね」
「うん、そうするよ」
笑顔で答えたのだった。するとだ。
数日後だった。ジャアファルは一人の楚々とした女性を連れて来た。歳はケムルと同じ位だ。確かに美人で気品にも満ち溢れている。
彼女を見てだ。ケムルはあることに気付いた。それは」
「その人は確か」
「はい、御存知でしたか」
「あの家の娘さんじゃないか」
ケムルの家と並ぶ裕福な家のだ。そこの娘の一人である。
「その人だったのかい」
「あちらでも縁談を探していまして」
「それで僕と」
「そうです。それでどうでしょうか」
ジャアファルはその美女の横からケムルに尋ねる。
「この方で宜しいですか?」
「いや、少し待ってくれるかな」
「何かありましたか?」
「その人と話がしたいんだ」
こうだ。落ち着いた声でジャアファルに話すのだった。
「それから決めたいけれど」
「はい、それでは」
こうしてだ。彼はその美女と話すことにした。まずは二人きりになった。
そのうえで屋敷の庭に出てだ。散策をしながら彼女と話す。するとだ。
まずはだ。美女は名前から名乗ってきた。
「タハミーネといいます」
「それが貴女の名前ですか」
「はい、そして貴女は」
「ケムルといいます」
まずは名前を教え合ってだ。それからじっくりと話すのだった。82
するとだ。その性格は聞いた通りだった。円満でしかも温和である。しかも聡明さもだ。ジャアファルが言った通りだった。まさにジャアファルの言った通りです。
そうして彼女と話してからだ。ジャアファルに述べるのだった。
「彼女にするよ」
「はい、あちらの方もです」
「タハミーネさんもだね」
「旦那様をとのことです」
「いいことだね。じゃあ」
「はい、ご結婚を」
それをだと。ジャアファルは笑顔で述べたのだった。
「されるといいかと」
「そうさせてもらうよ。それにしても」
「それにしてもとは?」
「多くを選ぶよりいいのかな」
考える顔でだ。こう述べたのである。
「その方がいいのかな」
「はい、妻は四人までですが」
イスラムの教えではそうなっているのだ。しかしである。ジャアファルはその教えに書かれていることを主に対してさらに話すのだった。
「その四人を公平にです」
「愛さなければならない」
「それは非常に難しいので」
「一人の方がいいんだね」
「そういうことです。ですから一人を愛されることも示されたのです」
「成程ね。よくわかったよ」
こうしてだった。彼は生涯の伴侶を得たのであった。相手は一人であるがそれでもである。彼は二人で幸せな家を築いていくのであった。
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