第八話 作戦会議
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クロプシュトック侯爵家……」
「爺さん?」
爺さんがじっと俺を見た。
「皆、リメス男爵の標的にされた家だ」
「……」
また、まさかと思った。グリンメルスハウゼン子爵はともかく他は混乱など起きる要素は事前には分からなかったはずだ。
ハルテンベルク伯爵は妹に殺された。シュテーガー男爵は俺が幼年学校の事件を解決したことで逮捕された。ヘルクスハイマー伯爵は例の一件でオーディンを逃げ出した。クロプシュトック侯は大逆事件……、どうやって事前に知った? 有り得ない。キルヒアイスが顔を強張らせている。多分俺も同様だろう。
「特にな、ヘルクスハイマー伯爵家は酷かったらしい。どういうわけか伯爵夫人が殺され伯爵はオーディンを逃げ出したんだがその直前に伯爵家の領地、利権のかなりの部分がリメス男爵に譲渡されている。どんな魔法を使ったのやら……」
「……馬鹿な」
声が震えた。有り得ない事が起きた……。
「不思議なのはリッテンハイム侯が何も言わない事だ。普通なら何か言いそうなものだがな」
“怖い話だぜ”、ボソッと爺さんが呟いた。多分遺伝子の秘密が理由だ。あれを知っているのはリッテンハイム侯を除けば俺とキルヒアイスぐらいだと思っていたが……。リッテンハイム侯がリメス男爵に何も出来ないのは手出しすれば公表すると言われているに違いない。そうなればリッテンハイム侯爵家、ブラウンシュバイク公爵家、共にとんでもない事になりかねない。キルヒアイスが俺をじっと見ている。多分同じ事を思っているだろう。
「貴族達の中ではヘルクスハイマー伯爵がオーディンを逃げ出したのはリメス男爵を怒らせた所為だという噂も有るんだ。伯爵夫人が死んだのは見せしめだってな。ヘルクスハイマー伯爵は領地、利権を差し出す事で許しを願ったって。怖い話だろう?」
「ああ、……リメス男爵はその噂を否定しないのか?」
「そんな話は聞いた事がねえな」
本当は違う、リメス男爵は関係ない。だが否定しないのはその方が都合が良いからだろう。平民であった彼を貴族社会は受け入れない。ならば敢えて悪名を背負う事で貴族達を威圧しているのだ。そしてリッテンハイム侯は秘密を守るために沈黙している。そうする事でリメス男爵を利用している……。
「それにな、あの家が貴族達から嫌われるのは他にも理由がある」
「……というと?」
「元が平民だからだろうな、改革派って言うのか、そいつらを呼んで平民達を手厚く保護しているんだ。平民なんて虫けらみたいに思っている貴族達からみれば面白くないのさ。いや、理解出来ない、かな」
唯の欲張りではないという事か。ちょっとホッとした。
「問題にはならないのでしょうか?」
キルヒアイスが訊ねた。貴族達にとっては面白くない考えだ。止めさせようと考えてもおかしくは無い。
「一度問題
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