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銀河親爺伝説
第八話 作戦会議
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たいのですがお許し頂けるでしょうか?」
「……好きにされるが良い」
「有難うございます。リュッケルト提督、宜しくお願いします」
「……いや、こちらこそ」
妙な男だ。爺さんに丁寧に頭を下げた。とても貴族とは思えない、何者だ? そんな疑問が胸に浮かんだ。




「爺さんは相変わらずだな、性格が悪い」
「ん、そうかな?」
「そうだとも、フレーゲル男爵をからかって喜んでた。わざとだろう?」
「別にからかってはいねえさ。分からねえから訊いただけだ」
本心じゃない、目が笑っている。キルヒアイスが知りたそうな表情をしていた。先程までの会議室の遣り取りをキルヒアイスに教えるとキルヒアイスも吹き出しそうになった。

爺さんはこれから出撃だ。出撃前の一時、キルヒアイスと共に爺さんに与えられた部屋を訪ねた。少し聞きたい事も有る。適当に座りながら話をした。
「爺さん、ちょっと気になる事が有るんだが……」
「リメス男爵の事か」
「ああ、爺さんは男爵を知っているのか?」
「まあな、それなりに有名な男だ」
不思議だった。俺は彼の事を聞いたことが無い。キルヒアイスも不思議そうな顔をしている。

「妙に貴族らしくないと思ったんだが気の所為かな」
爺さんが“いや、そうじゃない”と頷いた。
「あれは元々は平民でな、どちらかといえばフレーゲル男爵を始めとする貴族達よりも俺達に近い。その所為だろう、作戦会議の時もフレーゲル達とは少し離れた場所に居た」
妙な話だ。元々は平民? “どういうことだ?”と続きを促した。

「先代のリメス男爵ってのが平民の女との間に子供を作った。それが男爵の母親だ。母親の実家は結構裕福でな、男爵家からの援助は受けなかったらしい。母親は男爵家とは関係なく平民として育ち平民の男と結婚した。確か相手は弁護士だったな。母親も法律関係の仕事をしていたはずだ。そして男の子が生まれた、それがあの男爵だ」
「詳しいな。……爺さん、先代のリメス男爵には他に後継者が居なかったのか?」
俺が問い掛けると爺さんが“居たよ”と答えた。

「息子は死んだが孫が二人いたと聞いている。しかしその孫も事故で亡くなっちまってな、先代の血を引くのは平民として育てられた娘とその娘が生んだ孫しか残らなかった。そういうわけでな、先代の男爵が無くなる直前だが男爵家に後継者として引き取られたんだ」
「……」
「本当なら母親が男爵夫人になる筈だがどういうわけか息子が先代の養子になってリメス男爵になった。確か十一、いや十二歳かな、そのくらいだろう。そして父親と母親は息子を補佐している。今からざっと七、八年前の話だ」

なるほど、と思った。貴族らしくないのはその所為か。
「しかし血は繋がっているとはいえ平民を養子にとなると随分と金がかかったんじゃないか」

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