第八話 作戦会議
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うちょっとで“爺さん”と言うところだった。気を付けないと。
「お前、貴族になるんだろう。貴族ってのは案外面倒臭そうだぜ。フレーゲル男爵の話を聞いただろう。男爵は他人様に言えないような仕事をしているみたいじゃねえか」
思わず噴き出した。俺だけじゃない、彼方此方で、ミュッケンベルガー元帥もむせている。
「き、貴様! 私を、フレーゲル男爵である私を、犯罪者扱いするか! 無礼だろう!」
フレーゲルが音を立てて立ち上がり顔面を朱に染めて怒鳴った。爺さんは小首を傾げている。
「はあ? 何怒ってるんだ。別に男爵を犯罪者扱いなんてしてねえぞ」
「しかし、他人様に言えないような仕事等と」
「事実だろうが。そんなに気に障るならもったいぶらずに仕事の内容を教えてくれよ。それで済む話だ、違うか?」
フレーゲルがぐっと詰まった。
クスクスと笑う声が聞こえた。フレーゲルが“何がおかしい!”と怒鳴った。怒鳴られたのは未だ若い男だ。俺と大して歳は変わらないだろう。黒髪、黒目、怒鳴られたにもかかわらず穏やかな表情で笑っている。確か名前は……、リメス、リメス男爵だと思ったが……。
「失礼、リュッケルト提督が非常に愉快な方なのでつい笑ってしまいました。決してフレーゲル男爵を笑ったわけでは有りませんよ。誤解しないでください」
そういうと今度は声を上げて笑った。フレーゲルが“ふざけるな、リメス、貴様ー”と怒声を上げた。しかしリメス男爵は笑うのを止めない。大丈夫なのか? フレーゲルはブラウンシュバイク公の甥だ。公を怒らせると厄介な事になりかねないが……。
「それ以上笑うと……」
リメス男爵が笑うのを止めた。流石に拙いと思ったか。違う、顔が笑っている。
「どうなります。ブラウンシュバイク公に言い付けますか?」
また笑い出した。フレーゲルが“笑うな!”と怒声を上げた。リメス男爵はさらに笑う。
「両名、止めぬか! 」
ミュッケンベルガーが二人を止めた。そしてフレーゲル男爵に席に座るようにと命令した。フレーゲルはリメス男爵を睨んでいたがミュッケンベルガーが再度席に座るように命じると渋々従った。それを見届けてからミュッケンベルガーは爺さんに視線を向けた。
「リュッケルト提督に命じる。惑星レグニツァの周辺宙域に同盟と僭称する叛徒どもの部隊が徘徊しているとの報が有る。直ちに艦隊を率いて当該宙域に赴き情報の虚実を確認し、実なるときは卿の裁量によってそれを排除せよ」
「謹んで命令をお受けします」
「うむ」
まともな挨拶も出来るんだな。そう思った時だった、リメス男爵がミュッケンベルガーに“元帥閣下”と声をかけた。皆の視線が男爵に向かう。ミュッケンベルガーは誰の目にも分かるほど緊張を露わにした。
「何かな、リメス男爵」
「リュッケルト提督に同行し
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