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銀河親爺伝説
第八話 作戦会議
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するものを指すのだ」
フレーゲルが得意げに、そして爺さんを蔑むように言った。

「なるほどなあ、貴族はゴールデンバウム王朝の藩屏か……。ところでフレーゲル男爵家は何時頃からその藩屏をやってるんだ、代々と言ってたが」
「当然、帝国が成立した時からだ。フレーゲル男爵家はルドルフ大帝によって創られた。……というより卿、もう少し何とかならんのか、その口は。無礼だろう」
フレーゲルが不愉快そうに言ったが爺さんは右手をヒラヒラさせた。

「年を取ってもう治らねえんだ。老い先短い年寄りなんだから気にしないでくれ。それに俺は大将、男爵は中将、軍の階級では問題ねえだろう。ここは作戦会議の場だぜ」
爺さんがフレーゲル男爵を軽くあしらった。フレーゲルが忌々しそうにフンと鼻を鳴らしたが文句は言わなかった。馬鹿な奴、あっさり爺さんに丸め込まれている。もう半分くらいは爺さんのペースだな。

「しかしルドルフ大帝によって創られたって事は余程の功績を上げたって事だな、帝国の藩屏か、大したもんだぜ」
爺さんが褒めるとフレーゲルが嬉しそうな表情をした。“その通りだ、分かったか”と爺さんと俺を見て言い放つ。お前が功績を立てたわけじゃないだろう。

「代々のフレーゲル男爵も藩屏として帝国を守って来たんだろうなあ、大変だな、貴族も」
「当然だ、それが我ら貴族の高貴なる務めだからな。まあ卿などにはその苦労は分かるまい」
嫌味に溢れた口調だが爺さんは気にしなかった。“全くだ、全然分からねえな”と言って頷いている。
「で、当代のフレーゲル男爵は藩屏として一体何をやっているんだ?」
爺さんの問い掛けにフレーゲルが固まった。

「いやな、俺とミューゼルは軍人だ。戦場に出て反乱軍と戦って武勲を上げて大将になった。まあこう言っちゃなんだが大したもんだわ。誰にでも出来る事じゃねえ。俺達だって帝国の藩屏と言ったって言い過ぎじゃねえよな。そこで気になったんだ。別に戦争しているわけでもねえし政府閣僚ってわけでもねえ。役人でもねえよな。フレーゲル男爵の藩屏としての仕事ってのは何なんだ? 教えてくれねえかな」
皆の視線がフレーゲルに向かった。フレーゲルの顔は強張っている。何と答えるのか、見ものだな。我ながら意地悪く思った。

「それは、……色々と有るのだ」
爺さんが顔を顰めた。
「色々? もうちょっとはっきり言ってくれねえと分からねえな。俺は馬鹿なんだから馬鹿にも分かるように教えてくれ」
「だから、貴族には貴族としての重要な仕事が有るのだ。……卿らのような平民には教える必要は無い」
しどろもどろだ。爺さんが俺を見た。目が悪戯っぽく光っている。また悪さを考えたらしい。性格が悪いと思ったが何を言い出すか楽しくなった。

「ミューゼルよ、お前大丈夫か?」
「何がかな」

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