第001話 ─Castaway─ 遭難
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任された。そんな自分に、誇りを感じていた。
(織斑君……一夏、帰って来て)
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ヨセフィン・ヤーネフェルトは[ヘイムダル]の索敵・電子戦特化機としての全センサーを総動員し、火山の観測、周辺の空中警戒管制、[タケミカヅチ]への全情報のリンクを行っていた。
火口上空の空間・重力異常を刻々とモニターしながら、脳裏にはまだまだ頼りない熱血漢の後輩の顔を思い浮かべていた。
(イチカ、早く帰って来て、ワタシに和菓子食べ放題をゴチソウするですヨ〜!)
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空間が歪み、捻れ、逆巻く奔流が渦となってシールドで守られた機体を翻弄する。周りを稲妻が乱れ走り、暴走する余剰エネルギーが時間の流れにも干渉しだす。
「あ……んた、ビットで……その……武器を攻撃し……て壊すん……だ。こ……の球は、俺が……抑……える!」
話す間にも時空連続体が歪み、時間がところどころ遅延する。
「わ……分か……った!」
一夏は、咄嗟に思いついた策を、愛機へ頼むように脳裏に思い浮かべる。それを元にシールドエネルギーの波長を修正、位相を反転させるべくコアが演算を行う。HMDには、両手を球に向けて伸ばしたその先に、荒れ狂う空間を包み込むエネルギーフィールドのシミュレート画像が映し出された。
(頼む、白式。俺に力を貸してくれっ!)
[白式・雪羅]の両の前腕部に、光とともにデフレクタースクリーン発生装置が生成される。サブウィンドウの情報によれば、前方に防御スクリーンを投射する装置で、スクリーンの形状はある程度変更することが可能のようだ。
両腕を特異点へ向けると、防御スクリーンを展開する。シールドエネルギーが減少し、管制・制御機能以外は低下した。
一方、[バズヴ・カタ]は三基のビットを呼び寄せていた。
『坊……や、こっ……ちはい……つでも……いい……よ』
一夏は必死で乱流に抗いながら、防御スクリーンを変化させて特異点を包む込む。
「い……いぞ、や……れっ!」
瞬間、ビットからの砲撃が[スパスベイン]を捉える。爆発を起こし機能を停止した[スパスベイン]を投棄し、[バズヴ・カタ]はビットを収容する。
「坊……や、こっ……ちはOK……だよ」
アイリーンはスラスターを噴射させ、離脱した。
だが、荒れ狂う空間はエネルギーを蓄積し続け、必死の一夏により位置を固定させていた。いまや、この特異点が地表や海面まで降りれば、臨界に達したとき火山島を中心に周囲10km以上が消滅するまでにエネルギーを蓄えていた。
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