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インフィニット・ストラトス ─Castaway─
第001話 ─Castaway─ 遭難
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め、直径10cmほどの球体となって、さらに縮小されていく。火山灰の纏った磁界と空間エネルギーがともに急激に高圧をかけられ、位相エネルギーを蓄える。火山雷が瞬き、何度も直撃すると、漆黒の球体は回転を始めた。

 呆然と見守る一夏は、警告音に我にかえった。機体が微細な震動を起こしている。
〈位相エネルギー増大、異常重力波ニヨリ空間震発生。危険、危険、危険。当空域カラ退避セヨ〉
 HMDに映し出されるナビからの警告に、一夏は脱出を決める。その視界に、空に貼り付く[バズヴ・カタ]が入る。

「おい、あんた。この空間がヤバいらしいぞ。その攻撃をやめて、逃げるんだ!」

『坊やの指図を受けないよ! ……とは言ったものの、この兵器、フリーズしちまって、どうにもならないのさ』

「なら、俺が壊してやろうか」

『あきれた坊やだよ、敵を助けてどうするんだい。坊やの世話にはならないよ』

「そんな事を言ってる場合かよ。俺は、みんなを守るって決めるてんだ! それには、あんただって含まれてるんだ! あんたが気に入らなくても、助けるぜ!」

 放電しながら回転する黒球は直径5cmほどまで圧縮され、周囲の空間は捻れ始める。
 徐々に波打つ重力波がさざ波のように広がり、二機のISを翻弄しだす。
〈危険。空間ノ捻レ現象増大。特異点の臨界ニヨリ空間断裂ノ可能性大。周囲7kmノ範囲ノ消滅ガ予想サレル〉
 一夏は瞬時に仲間の位置を確認する。エネルギー乱流に干渉され、ノイズが走る画面には、セシリアたちのIS、姉の乗る指揮艇の光点が浮かび上がる。
 まずい、皆、被害エリアの中だ。なんとかしないと!


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 作戦指揮官である織斑千冬は、上甲板で噴煙をあげる火山島を見据えていた。
太い柱のような噴煙は、頂点部分が暴風に引きずり回されるように渦巻き、引きちぎられて乱れ飛んでている。

 はやぶさU型ミサイル艇を改装した高速指揮艇[タケミカヅチ]は、マハニ火山からの災害指定海域の境界を遊弋し、事態の急変に備えていた。
 ステルス性に優れ、主兵装はオート・メラーラ62口径76mm単装砲、サブウェポンとして12.7mm単装機銃M2を2基装備している。99式SSMミサイル連装発射筒は取り払われてC4Iシステムを拡張、NOLR-10ESM、OLR-10Sの他、OLT-6R、NOLQ-4Fの電子戦装置が装備されている。

 クルーはCICの能力をフルに使い、ISによる状況の確認、救難・救助の指揮を行っていた。千冬は右耳に着けた端末で、CICで解析した空間異常の状況をモニターしていた。だが、分かるのは刻々と推移する現状のみだった。

「何が起こっているんだ……一夏」

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