二十五話 壁(シールド)
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智也と広翔は崩壊した街の中に入る。
コンクリートくさい街の中心部。良天なのに最悪なシチュエーション。
何か昔を思い出すような。そんな感じがする。
人々の怯えた目、テロリストの殺気を空気で感じるような。
・・・・
広翔は鉄片を拾って右手を突き出して構えた。体が電極音でバチバチとなっている。
「good-bye.」
と広翔はそう静かな声で呟いた。
ードゥンッ!!
…
巨大な爆発音と共に空気と音と光の衝撃。
これが超電磁砲の破壊力ーー、焼き終えてしまった家は一瞬で消え去り、アスファルトも剥がれ、広翔の立っている場所には何も無くなっていた。
・・・・・
マンションが崩れて砂埃が舞い、黒い煙で視界は遮断されている。
《きゃーっ!》
と、その混乱に応じて、テロリストに追い詰められていた人達は悲鳴を上げながら逃げ出す。
智也はその場に立ち尽くしていた。
「・・・広翔?」
何も見えない。智也は広翔にそう言った。
何も見えない。声が届いているのだろうか。生きているのだろうか。
バチバチバチと鳴る電音しか聞こえない。
黒い煙が舞い、何も見えない。
(そうだ。俺の能力だったら…)
智也は右手を突き出した。
立ち止まっていた煙が一瞬のビュン、という風に吹き飛ばされた。
ー一瞬で砂埃が晴れ、視界が良くなるー
「・・・広翔?」
今度はイントネーションを変えて同じ言葉を掛ける。
広翔は呆然とうつむいて立ち尽くしているのが見える。
智也は右手を突き出した。
「・・・」
何も言えそうにない。そんな表情をしていた。
テロリストはいなくなっていた。
「・・・」
どちらも黙り込んでしまった。
広翔の前には黒焦げの…が落ちていた。
死体。
広翔が殺った、呆気なく。たった一つの能力で。
一発でこの威力、信じられないほどだった。
二人の頭の中は真っ白だった。なにも考えたくない。
もうその状況から目を背けたかった
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