竜殺し
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体を鞭のようにしならせ、少しとはいえ、助走とともに放った投剣は、こちらに向かって走っていた竜に反応する隙すら与えず、喉元に突き刺さる。それがトドメだった。
「……ふぅ……なんとかなったな」
死んではいたものの、慣性の法則にしたがってこちらまで滑ってきた竜の死体をかわし、喉元に刺さったままの剣を引き抜く。
「ほら、リン。左腕を出して!」
ユウキは剣形態から人間形態に戻ると、興奮したように俺の腕を掴んできた。……痛いんだが……。
「本当に倒せたんだ……」
「ああ、レアか。……意外と強かったな」
影に隠れていたレアが恐る恐るこちらに寄ってくる。
……ユウキ、もう少し弱く掴んで欲しいんだが。
「痛くないと学ばないでしょ?」
おっしゃる通りです。
「……ありがとう。これで私は外の世界に出て行ける」
「自分らのためだから気にするな。案内してくれるんだろ?」
「準備をちゃんと整えてからね?準備してたらこんな怪我、負う必要はなかったのに……」
治療の手は休めてはいないが、こちらをジト目で睨んでくるユウキに苦笑で返す。
正直、自業自得だからなにも言えない。
「武器等は融通してもらえるのか?」
「最大限の感謝がもらえると思うよ。私たちの鍛冶師は素材がなかったから苦労してたみたいだけど……こんなに素材があれば大抵のものは作れると思うしね」
竜素材で糸は作れるのだろうか?腱の辺りを解せばなんとかいけるか?
「まあ、それはいいとして……これはどうやって運ぶんだ?」
「私が人を呼んでくるから、ここで待ってて!」
そう言うとレアはこちらを無視して走っていった。
「せっかちだな」
「それだけ嬉しいんじゃない?さてと、リン。さっきの続きだけど……」
「……忘れてなかったのか……」
その後、しばらくユウキによる説教を食らった。
……半分以上聞き流したのだが。
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