戻ってきた日常
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ーバが300ってとこかな」
俺があの戦いから去っていってすぐ、茅場はキリトにあるものを託していた。それがこの《世界の種子》である。これは元々はキリトと俺に託す予定だったのだが、俺はご存じの通り先に退場してしまったのでこんな形で見ることとなった。そしてこの《世界の種子》は解析の結果、フルダイブ・システムによる全感覚VR環境を動かすための一連のプログラム・パッケージだったらしい。
つまりこれがあればその辺から回線のそこそこ太いサーバを用意し、プログラムを走らせれば誰でも異世界を作ることができるのだ。
これを作ってしまう茅場はやはり天才なのだなと俺は再自覚する。
そしてこれをキリトに渡した際、茅場はこんなことを言っていたらしい。
「私を憎むなら消去してくれても構わない。でももしも、あの世界に憎しみ以外のものが存在するなら・・・」
その言葉の意味は聞いた瞬間に分かっていた。
『まったく茅場、あんたは本当に回りくどいな』
俺はウーロン茶を飲み干し、エギルに聞いた。
「今日の二次会はイグドラル・シティに集合でいいんだよな?」
「ああ、今夜の11時だ」
「了解」
その後キリトはリズに呼ばれそっちに行ってしまい、俺はその光景を端から眺めていた。因みにリズが飲んでいたのは濃度1%以下だとエギルが言っていた。
「よっ、直葉ちゃん♪」
「雪羅くん・・・」
「悩みごとか?」
「わかっちゃう?」
「表情が見え見えだ」
店の端っこに座っていた直葉ちゃんはなんだか思い詰めた顔をしていた。
「やっぱり雪羅くんには敵わないね・・・」
「それで?どうしたんだ?」
「うん、あたし思ったの。この前の戦いで、あたしはお兄ちゃんや雪羅くんのいる所まで行けないって・・・」
「・・・・・」
「お兄ちゃんたちは前線で戦っていたのに、あたしだけ重要な所で戦えなかった。あたしじゃやっぱり、お兄ちゃんや雪羅くんみたいになれないって・・・」
キリトや俺のように、か・・・確かにその気持ちはなんとなく分かる。だが、俺は一つ疑問に思っていた。それは俺がSAOに来る前の俺が思っていたことと同じだった。
「直葉ちゃん、きみはどうしても俺やキリトのようにならなきゃいけないのかな?」
「えっ・・・?」
「俺も昔、直葉ちゃんと同じ思考になったことがあるんだ。誰かみたいになりたい、最初はそう思ってた。でも、ある時思ったんだ、『俺はその人ようにならなきゃいけないのかな』って」
「雪羅くん・・・」
「それで思ったよ、『なにもその人にならなくてもいいじゃないか!』って。自分という個体は一つなんだ、だったら自分の長所を余すことなく活かせばいいって」
「ッ・
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ