第三章
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第三章
「そうですけれど」
「ふむ。四歳下だな」
何かを考える目になってだ。また言う彼女だった。
「学ぶには最適の年齢だ」
「勉強に年齢が関係あるんですか」
「人生は生きている限り勉強だが」
それでもだというのである。
「それでもだ。二十歳の頃はだ」
「二十歳の頃はですか」
「そうだ、二十歳は青春だ。学ぶべき時なのだ」
「だからですか」
「学べ」
また言う彼女だった。
「いいな。それではだ」
「このレポートは」
「いや、そのレポートだけではない」
「これからもですか?っていうと」
「何かあれば来るといい」
こう言ってだ。さらにであった。
「いや、何もなくてもだ」
「何もなくてもですか」
「来るといい。学びたければな」
「俺正直なところ」
嶺浩は首を傾げさせてだった。こんなことを言うのだった。
「勉強は好きじゃないんですけれど」
「学校の勉強はだな」
「ええ、まあ」
その通りだというのであった。実際に彼は勉強は好きではない。一応そつのない成績を保ち大学にも通っているがそれでもだ。好きではないのだ。
「それは」
「それだけが学ぶことではない」
だが彼女はこう言うのだった。
「学校の勉強以外にも学ぶことは多くあるな」
「まあそうですけれどね」
「ならそうしたことを学べ」
これが彼女の言葉だった。
「いいな。それではな」
「わかりました。それじゃあ」
「私は何時でもここにいる」
彼女はこんなことも告げた。
「何時でも来るといい」
「わかりました」
こうして彼女との話を終えたのだった。そしてレポートを書いた次の日だ。彼はふらりとした感じでまた図書館に来たのだった。
するとだ。カウンターのところにまた彼女がいた。彼の顔を見ると笑顔になってだ。こう声をかけて挨拶にしてきたのだった。
「来たな」
「はい」
「よく来てくれた」
こう彼に言うのだった。
「それで今日はどの本を借りたい」
「今日は哲学書じゃなくてですね」
「他のものか」
「スポーツの本とかありますか?」
今日はそれだというのだった。彼の好みのジャンルである。
「それは」
「うむ、野球も空手も何でもあるぞ」
「野球もですか」
「ただし巨人の本はない」
それはないというのだった。
「私もこの図書館のスタッフの誰も巨人が好きではないからな」
「ああ、それ俺もなんで」
「君もか」
「俺広島ファンですから」
それが理由だというのである。
「巨人嫌いなんですよ」
「いいことだ。しかし広島か」
「はい、広島です」
「苦難だな」
いきなりとんでもない言葉であった。
「それはまたな」
「まああまり優勝できるチームじゃないですけれどね」
「しかし奇遇だ。私も
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