シンガーはただ歌うだけ
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そうじゃないんだ、未来は用意するとかしないとかじゃない――
俺達の歩んだ道が、そのまま未来に続いてるんだ――
だから未来はいつだって俺達の手の中にある――
「そうだ、未来は我々の手の中にある。掴みとりたいなら・・・」
それが、男が聞いた彼の最後の演奏になった。
翌日、男はその歌によって与えられた希望を都合の良い形で解釈した結果、その希望に押し潰されてボスに敗北する。その後、ボスは他の攻略組によって討伐され、軍にはもう攻略に参加できる存在が皆無であるという噂を図らずとも証明した。
もはや彼が本当に世界を救いたかったのか、それとも惨めな自分に耐えられずに光を見たくなったのか――その真実は1と0の狭間に散って、二度と確かめられなかった。
彼が握ったのは、数名の部下の命を死なせた責任と砕けた自身のポリゴン片だけ。
歌は歌でしかない。それをどう捉えるかは、聞き手にのみ決められる。
そしてそれが必ずしも救いであるとは、限らない。
それでも、歌うしかない。それが、彼が未来を掴むために唯一出来る行動だから。
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