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【SAO】シンガーソング・オンライン
シンガーはただ歌うだけ
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途中に横でぐちゃぐちゃ喋られるより不愉快なことはない。
久しぶりに怒ってしまった。大人しく二人が据わったことを確認して、楽器をかき鳴らす。


生きてるってのは楽しいよな。美味いとか痛いとか疲れたとか――

すげぇじゃないか俺達、それって全部生きてるから感じるんだぜ――

だから若いうちは、その「生きてる」を求めて走り回るんだ――

だから、邪魔する奴は殴り飛ばしてやりな――

俺たちの特権だそれは。お前のやりたい行動をするんだ――


「お前がこんな歌聞くのか」
「イイ歌だろ?否定してないのさ、俺もお前も」
「・・・・・・」

正しいか正しくないかなど問わない。行動の結果だけが本当だ。
そこに善悪も貴賤も存在しない。それは罪も後悔も終着ではないということ。
黒服の少年はそちらに目もくれず、口だけで小さく宣言する。

「俺はこれからもお前らの邪魔をする。レッドを許さない」
「Hoo、怖い怖い・・・やってみな、勇者気取り」

たった二人の観客を前に、演奏は続いた。



 = =



聞き覚えのある歌声が、耳に届いた。

「ああ、よかった」と顔がほころぶのを自覚する。
このゲームが始まったばかりでどうすればいいのか分からなくなってきた時代、この歌声によって私は両足で立てたのだ。長らく勤務で聞くことが出来なかったが、今日ようやく聞けるようだと安堵する。

(この機会を逃せば、もう聞けんかもしれんからな)

初めて来る層だが、彼は上層・中層・下層の3つの層を行き来して路上で歌っていると聞いた。
噂話程度のスケジュール把握なのですれ違うかもしれないと思っていたのだが、今日の私は運がいい。

彼はギルド《アインクラッド解放軍》――通称”軍”の佐官席を預かる男だった。嘗ては燃えるような熱意と共に剣を振るい、最前線を駆ける攻略組の一員としてゲームクリアに貢献していた男だ。

だが軍は25層のボス攻略において、その勢いが余ったこととフロアボスの危険度が想像以上だったことが重なり攻略続行が難しくなるほどの損害を受けた。
以降、軍は下層において質の悪い犯罪(オレンジ)プレイヤーを捕縛するなどの治安維持活動に専念するよう方向転換し、その勢いは下火になった。
それによって彼は、まだ戦えるだけの余力があるにもかかわらず、後方に下がらざるを得なくなった。
彼の歌を聞けなくなったのもその頃からだ。なまじ実力が高かったがゆえに佐官という高い地位に置かれ、雑務に追われることとなった。

レベリングも見回りもデスクワークもすべて定められ、攻略に足を運ぶことは上の判断で許されない。攻略ギルドと名乗っていたくせに、何たる無様。
それまで、軍は栄光があった。
勝ち戦をしている感覚があったし、こ
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