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図書館ではじまって
第一章
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の人が話す。
「ドイツの有名な哲学者だ」
「ドイツのですか」
「そうだ、厭世哲学といってな」
「厭世哲学?」
「要するにこの世を疎ましいという考えだ」
 その哲学の本棚に彼を案内しながら話す彼女だった。
「まああまり明るい考えではないな」
「この世が疎ましいって考えるんならそうですね」
「そうだ。ひょっとして君は」
 前を歩いていた彼女がだ。嶺浩の方を振り向いてきたのだ。
「この世が嫌いなのか」
「いえ、別に」
 それは否定する彼だった。
「俺、別にそこまで暗くないですから」
「しかしショーペンハウアーを読むとなるとだ」
 蛍光灯で照らされた白い天井と木の黄色い床の間の世界で話す。

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