第百七十六話 手取川の合戦その八
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「そこによい城を築けるか確かめるぞ」
「北ノ庄に続き」
「あの城もですな」
「そうするぞ、よいな」
「畏まりました、では」
「その様に」
家臣達も応えた、そしてだった。
織田軍は上杉の軍勢を追わなかった。そうしてなのだった。
織田軍は飯を食い眠りに入った、その間に上杉の軍勢は安全な場所まで逃れた。それから越後に戻った。
このことは信長もわかっていた、それで今はだった。
加賀の北を抑えにかかった、その金沢に入りだ。
その地を見回してだ、こう諸将に言った。
「ふむ、ここならな」
「城を築くにですか」
「よい場所ですか」
「そうじゃ、この場所ならな」
是非にというのだ。
「城を築ける、よい場所じゃ」
「わかりました、それでは」
「この城に」
「うむ、築くぞ」
実際に家臣達に言った、こうしてだった。
金沢に城を築くことも決めた、上杉との戦を凌ぎ遂に加賀の北も完全に手に入れたのだった。そしてそのうえでだった。
信長は金沢城の普請をはじめさせ守りの兵を置いたうえで諸将と主力の兵達を率いて帰路についた、本願寺の戦から数えて長きに渡った激しい戦はこれで一息ついた。
その信長が岐阜に戻って暫くしてだ、彼に朗報が入った。
「ほう、遂にか」
「はい、完成しました」
丹羽が信長に述べていた。
「安土の城か」
「そうか、五郎左よくやったぞ」
「ではすぐにですか」
「うむ、あの城に入りな」
そうしてだとだ、信長は明るい顔で丹羽に答えた。
「そこでこれまでの戦の論功を行うことにしようぞ」
「畏まりました」
「以後わしは安土城を居城とする」
その安土の城をだというのだ。
「そうするぞ」
「いよいよですな」
「そしてそこから天下布武をさらに進める」
こうも言う信長だった。
「さらにな」
「そうですな、あの城ならば」
「それに相応しいな」
「そうした城を考えました」
普請奉行である丹羽にしてもだというのだ。
「それでは」
「五郎左、よくやってくれた」
信長は笑みを浮かべ丹羽にこうも言った。
「このことの褒美も楽しみにしておれ」
「有り難きお言葉」
「では茶器なり何なりを持ってな」
そのうえで、というのだ。
「わしは安土に入る、皆も呼べ」
「そしてそこで」
「わしのさらなる天下布武を行うとしよう」
「そしてですな」
「天下を統一したならな」
その時はというのだった。
「そこで政を執る、そしてそれでじゃが」
「あのことですな」
「もう出来ておるな」
「はい、随分とかかってしまいましたが」
ここで言ってきたのは平手だ。織田家筆頭家老である彼が言うと今信長の前に集まっている主だった家臣達も笑みになる。
そしてだ、平手はその中で確かな顔
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