第二十話 錬金術その二十
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「かわして、素早く攻撃に移ることにしたのよ」
「そこまで考えてか」
「そういうこと、それが上手くいったわね」
「確かにな、にこにことしてるが」
「それでも?」
「中々頭はいい様だな」
「これでも勉強頑張ってるわよ」
「そうした話ではない」
学校の成績とはまた違うとだ、怪人は向日葵に返した。
「頭脳の動きがだ」
「それがいいっていうのね」
「俺の特徴を見抜いて勝つとはな」
「上手くいって何よりよ」
「そして俺に勝った、ではだ」
「それでは?」
「そのことも認める、貴様の覚悟もな」
勝つ覚悟、それにもというのだ。
「そのうえで俺は消えよう」
「何か知ってたら聞きたいんだけれど」
「生憎だが俺は何も知らない」
これが向日葵の問いへの返事だった。
「おそらく俺が何者かを知りたいのだな」
「そう、どうやって産まれたのかをね」
「それは一切知らない」
全く、というのだ。
「そして貴様等のこともな」
「ただ倒そうっていうだけなのね」
「その通りだ、ではだ」
猪の怪人もだった、彼も。
その身体を灰にさせて消えていった、そして。
風に吹かれて完全にいなくなった、向日葵は怪人が消え去ったのを見て彼女とほぼ同時に闘いを終えた薊に言った。
「今回も終わったわね」
「ああ、何とかな」
「ううん、勝つには勝ったけれど」
「今回もな」
「何もわからなかったわね」
「本当にね」
「勝っても手掛かりが得られないんじゃな」
薊もやれやれといった顔で言う。
「骨折り損だな」
「うん、命は拾ったけれどね」
「それでよしとすべきかね」
「とりあえずはそれでいいんじゃないかな」
それで、というのだった。
「今のところは」
「命あってか」
「そう、だからね」
「じゃあ助かったってことでな」
「そういうことでね」
「それじゃあな」
薊は笑って向日葵と裕香に言った。
「戦いは終わったし」
「後はね」
「帰ろうか」
当初の予定に添った言葉だった。
「いい時間だしな」
「そうね、寮にね」
裕香が薊にこう返す。
「それで後は」
「飯食ってお風呂入ってな」
「それで休もう」
「今日もゆっくり寝るか」
寝ることに関してもだ、薊は楽しそうな笑顔で語るのだった。
「あたし寝るのも大好きなんだよ」
「薊ちゃんよく寝るらしいけれど」
「ああ、一度寝たらな」
眠りに入ったら、というのだ。
「もう朝まで起きないよ」
「朝の音楽がかかるまで」
「起きないな、滅多に」
「そこまで寝るのね」
「だから朝起きたらな」
その朝の音楽で目覚めるまで、というのだ。
「もう身体すっきりだよ」
「それはいいことね」
「快食快眠ってな」
最後の一つはあえて言わなかった
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