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相州戦神館學園 八命陣×新世界より 邯鄲の世界より
第6話 蠢く闇、そして力
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ず、正常な世界から切り離された特殊な様相を呈している。
一見すれば冥府や地下墓所、そのように表現するほうが正しいようにも思えるが、にも関わらず海の底を思わせるのには訳があった。
ここには生ある者が存在する。よって死者の国では断じてなく、ある種の前向きな営みが行われているのは間違いない。
ただし、それが常人のものとは趣をまったく異にするという事実があるから、ここは海の底なのだ。
深海魚は異形である。
日の光を浴びて生きる者には、その姿と習性が奇怪でグロテスクな異次元の仕様に見える。
だが彼らにとっては至極真っ当で、自らの行き場に適応した美しくも無駄のないカタチなのだ。
暗黒の闇に包まれる礼拝堂を、燭台に点った炎が不気味に照らしていた。
そしてその蝋燭の放つ光を跨いで、対峙している二つの影がある。
無貌、神野明影。
盧生、甘粕正彦。
この時点で数十分程の沈黙が両者の間に続いていたものの、この静寂を神野の振動する蝿声が破った。
「主よ……、まさか空亡の主導権まで奪われてしまうとは予想外でしたね」
普段は嗜虐と諧謔、冷笑、嘲笑の四拍子が合わさった笑みを常時浮かべる神野ではあるが、今この場に限っては
無表情だった。
「全くだ。まさか盧生であるこの俺でさえも抗えない力があるとはな」
「何せ全世界の盧生になりえる資格を持つ者が人質ですから。そして挙句には全ての人間は庇護されることだけを
求める輝きの欠片もない凡愚だけしか存在しなくなる、と。まぁ、つまり全ての人間が人質ってわけでしょう。
貴方にとっては地獄しかない未来が待っているだけ……。貴方にとっては自分が死ぬことなんて大して気にも留めない
でしょうけど、人間達がひたすらに堕落していき、盧生になりえる者は0人にされると言われちゃ貴方でも従わざるを
えませんよね。眼前には貴方の嫌悪する光景、未来が広がるだけ……」
「認めたくはない世界だな。俺にとっては断じて受け入れたくはない地獄だ」
「ひたすらに救いようのない愚図、凡愚、劣等だけが存在する世界……。しかもその中には盧生なんて一人もいない、
ぱらいぞなんて作りようがありませんねぇ、これじゃ」
「盧生とて神ではない。だが神とはいってもピンからキリまでだがな。あの黒衣の男の目的が何なのかは分からん。
だが、千年後の世界は俺にとっても認められん世界であることには変わりはない。使い走りにされても、しようとしている
ことは少なくとも俺的に言わせれば悪くはないと思っている」
「ま、それもそうでしょうね。きははっ、きはははあははははあ!!!!」
神野は甘粕の言葉を受けて普段通りの嘲笑的な雰囲気を纏い、礼拝堂を哄笑で
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