暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
マクロスF
0732話
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「ふざけるなっ!」

 俺はその話を聞き、医者の胸ぐらを掴みあげる。
 医者の不摂生と言うべきか、100kgを軽く超えている……あるいは肥えていると思われるその肥満体の医者は、俺に片手で吊り上げられて目を白黒させている。
 まさか10代半ばにしか見えない俺に片手で持ち上げられるとは思わなかったのだろう。
 だが、さすがに胸元を持ち上げられている状況では息苦しくなってきたのか、必死になって俺の手から逃れようとする。

「は、離しなさい! 私は嘘は言っていない! 彼女は全く身体に問題の無い健康体だ!」
「なら、何でこうも熱が続いている? この病院の医者の目は節穴か?」
「そんな訳はないだろう! だが、彼女の血液やその他全てのデータは間違い無く健康であると示しているのだ!」
「……アクセル、もういいわ」

 医者を吊り上げていた俺の腕を押さえるシェリル。
 その表情に浮かんでいるのは、悲しみでも怒りでも、当然諦めでも無い。ただ強い意志のみだった。その瞳でじっと見つめられ、片手で吊り上げていた医者を椅子へと戻す。

「とにかく、私の身体は健康だと判断してもいいのね?」
「ぜはぁ、ぜはぁ。……ええ、こちらの検査の結果ではそうなっています」
「なら退院しても問題無いと?」

 俺は医者がシェリルの言葉に当然頷くと思っていた。それはそうだろう。何しろ検査入院して出た結果が、ここ最近シェリルと行動を共にしている俺にしてみれば納得は出来なかったが、健康だと証明されていたのだから。
 シェリルにしても当然医者が頷くと思っていたのだろう。だが……

「申し訳ないけど、君のマネージャーから暫くは病室で休ませるようにと言われているんだ。このところずっと忙しくて疲れが溜まっているようだから、と」
「ちょっと、何でよ! あたしは健康だって検査結果が出たんでしょ! なら!」

 これには、さすがにシェリルにしても我慢出来なかったのだろう。医者に向かって強い口調でまくし立てる。
 確かに普通に考えれば、明らかにおかしい。検査で健康だと証明されたにも関わらず、疲れを癒す為にも入院していろというのだから。
 一体どうなっているんだ? そんな俺の疑問は、医者自身の口から説明される。

「実は、君のマネージャーさん。グレイスさんとか言ったと思うけど、今ちょっと忙しいらしいんだよ」

 それは知っている。そうでなければ、シェリルの元護衛で知り合いであると言っても血縁関係でも何でも無い俺がこうしてシェリルの検査結果を聞く事が出来る訳ないしな。
 だが、シェリルにとってはグレイスの件は予想外だったのだろう。思わずといった様子で呟く。

「グレイスが……?」
「そういう事になるね。さ、こちらとしても君の他にも患者は大勢いる。悪いんだけど、
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ