第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
24.July・Midnight:『Masters』
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減るほどに。
それほどである。この二人は、紛う事なき『選ばれた魔書の主』達は。一切の、揺らぎなく────!
「それで? まさか、わざわざ酒を呑みに来た訳ではないでしょう?」
「当たり前だ。今回は、相互不可侵の盟約を結びに来た。テメェの弟子、殺すからな。面倒だから、手ェ出すなや」
「それはそれは、また」
明らかに、理不尽を。しかし、それすらも楽しげに。
「こう言っては何ですが……私の弟子は、貴方の弟子達ではどうしようもありませんよ? そうですね、余りにも役者が違いすぎると言うか。なんと言うか」
「分かってらァ、クソッタレが。たかだか海神と空神の『旧支配者』兄弟どもで、造化の双子たる『外なる神』をどうこう出来るたァ、俺だって思ってねェよ」
どん、と。カウンターに一冊の書を置く偉丈夫。それこそは、彼の携える魔導書。その、銘は──────
「俺が、殺す。俺自身の手で、な」
「おや、それはそれは─────」
カロン、と。グラスが啼く。魔人二人の放つ瘴気に当てられたかのように、二つに割れて。
「まさか、子供の喧嘩に親が出張るとは。その無粋、貴方が一番嫌う行為だと思っていたのですが」
「嫌に決まってんだろ、餓鬼どもの遊びに首ィ突っ込むなんざ。だが、外なる神と来ちゃ仕方ねェ」
まさに、辟易と。だが、爛々と。久々の獲物を前に、舌舐めずる鮫の如く牙を剥いて。
「殺すぜ、あの“影”は。悪心の粋たる、法の敵は。俺の手で、な」
男────かつて、暗部すら生温い『世界の闇』で名を馳せた『博士』は、星よりの風を纏いながら。
「どうぞ、ご自由に。しかし、手前味噌ですが────強くはありませんが、厄介ですよ。コウジ君は」
男────かつて、暗部すら生温い『世界の闇』で名を馳せた『師父』は、星よりの風を纏いながら。
「決まりだな。んじゃ、お愛想といくか。『ヨグ=ソトース』まで在るとなりゃあ、流石に『準備』が要るモンでなァ」
「ええ。ご武運を。精々、死なないように祈ってますよ。何なら、我が『神』は貴方を受け入れる用意がありますので」
「ハッ────讃美歌でも歌ってくれるってかい? 御免だね、何にしても」
『今日一番面白い冗談だ』と笑って。白い男は、飲み干したブランデーボトルの代金を支払って席を外す。
最早、話す事は無いと。話は終わったと、全てを嘲笑いながら席を立って。
「じゃあな。二度とは会うまいよ、“エイボン師父”」
「ええ。それではさようならです、“シュリュズベリィ博士”」
永訣の言葉を交わして、全てが終わる────────
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