第五章
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第五章
それで彼等も真剣だ。徹のコンディション維持に必死だ。そしてそのことはだ。風邪で倒れてしまっている当の理恵にも伝わっていた。
「そうなの。徹君が」
「ええ、そうなのよ」
彼女の友人が電話で知らしていた。ベッドで半身を起こしてだ。そのうえで話をしていた。ベッドはピンク色だ。実に女の子らしいベッドだ。
部屋もだ。ピンクが多く女の子らしい。その部屋にいてだ。話をするのだった。
「次に勝てばね」
「甲子園ね」
「そう、甲子園よ」
まさにそこだというのだ。
「夢の甲子園に行けるのよ」
「そうよね。勝てばね」
「けれどあんた今学校来れないじゃない」
風邪で倒れているからだ。それは言うまでもないことだった。
「だから彼。ちょっとメンタルがやばいのよ」
「落ち込んでるの?」
「具体的に言えばそうよ」
まさにそれでだというのだ。
「そうなってるのよ」
「そうなの」
「あんたの声を携帯に録音してるから」
このこともだ。理恵に話す友人だった。電話でのやり取りは真剣なものだ。彼女達にしてもだ。話すことは真剣なものになっているのだ。
「それ聞いて何とかやってるけれどね」
「それでもなの」
「そうなの。正直甲子園は微妙ね」
友人はこう話した。
「どうなるかわからないわ。だからね」
「だから?」
「あんたしなくちゃいけないことがあるわよ」
友人が理恵に言うことはそのことだった。
「風邪でも。喉は大丈夫よね」
「ええ、それはね」
「それならまずは安心ね。じゃあいいわね」
「いいって?」
「今から言うこと。しっかりとやってね」
こう前置きしてからだ。理恵に話す。試合の日は迫っていた。
そしてその試合がはじまった。徹はだ。
ベンチでも携帯を手にしていた。そうしてだ。
携帯からの理恵の声を聞いてだ。何とか気持ちを維持していた。
「俺はやるからな」
「ああ、本当に頼むな」
「俺達が打つからな」
「そして守るからな」
流石に彼一人で勝てるものではない。野球は九人でやるものだ。あの怪物と言われた江川卓もだ。一人で野球をしていた訳ではないのだ。
「後ろは任せろ」
「安心して投げろ、いいな」
「ああ、やるさ」
彼も頷く。だが理恵がいないことはだ。彼に影響していたことは間違いなかった。
彼はこの試合本調子ではなかった。時折打たれる。ナインはその彼を助けよく守りそして打った。彼は二点取られたがチームは三点取った。
三対二だった。点数自体は彼等が優勢だ。しかしだ。
徹はやはり本調子ではない。どうしてもだ。やはり打たれる。点は入らずともだ。試合はそのまま終盤に入った。
そして九回になった。この回を抑えれば甲子園だ。しかしだ。
彼はここで崩れた。ワンアウトを
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