第1章 双子の兄妹
1-2 兄妹
兄妹
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ラ先輩みたいに野獣にはならないね、きっと」
「えっ?!」
「そう思うでしょ? マユミも」
「そ、そうだね……確かに。あの人優しいし……」
「やっぱり優しいんだ」美穂は目を輝かせた。「妹のあんたにも優しいんだったら間違いないよね。あたし本気でコクっちゃお、今度」
「え、あ、あの、美穂、で、でもケン兄優柔不断だし、優しいって言っても、そ、その、単に臆病なだけ……だから」
「いいんだ、それでも」
美穂は指を組んでうっとりしたように上目遣いで中空を見た。「彼は絶対、オトコの中の残り1lだよ。ユカリが言ってた通り」
マユミは、そんな美穂の様子をちょっと疎ましげに見やった。
「そうそう、マユミ、」
「な、なに?」
「あたしさ、兄妹で愛し合うっていう本、持ってるよ。貸してあげる」
そう言いながら美穂は自分のエナメルバッグを漁り始めた。
「ええっ? な、何それ!」
「ライトノベルなんだけど、『兄貴に胸キュン!』っていうの。兄妹で一線を越えちゃう、っていう話。なかなか面白くてどきどきしちゃうよ。あったあった。これこれ」
「そ、それって……」
美穂は、取り出した文庫本サイズの薄いその本をマユミに差し出した。「ま、実際そんな事になるわけないけどさ、フィクションだから逆に楽しめるよ。妄想も膨らんじゃうし」
美穂は必要以上にハイテンションになっていた。マユミはその本を躊躇いがちに受け取りながら、それでも鼓動を速くして兄ケンジの水着姿を頭に思い浮かべたりしていた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ