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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
36.暁の帝国
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た。背後から強烈な魔力を感じた。振り返るとそこには先ほどまでいなかったはずの人影が現れる。その人影は右腕を振り上げている。吸血鬼の本能が瞬時にその人影を敵だと判断し、唇を噛み切って自らの血を飲み込む。それを引き金に吸血鬼の筋力が解放され、気絶している男子生徒を抱きかかえて拳を回避する。
「紅蓮──っ!」
叫びとともに強烈な魔力の塊が大気へと放出されて震わす。
それは呪力をまとった一撃。直撃していればひとたまりもなかったであろう。
男子生徒を校舎の端に寝かせ彩斗は先ほどの人影の方角を睨む。そして目を疑った。
「お、おまえは……!?」
その容姿は緒河彩斗と瓜二つの顔立ちをしていた。違う点といえばわずかに彩斗よりもおっとりした目元で無気力さが増しているとも言えるし、女っぽくなったとも言える。黒い髪にわずかに色素の薄い髪が混ざっている。
「やっぱりすげぇな……あの攻撃を交わしたうえにその人まで助けるなんて」
彩斗に瓜二つの少年は不敵な笑みを浮かべる。
この少年の目的がなんなのかはわからないが確実に彩斗と戦おうとしている。それも目的があるわけではなくヴァトラーのように戦闘を愉しもうしている。
そんな思考を巡らせてる刹那。少年が彩斗の目の前まで詰め寄ってくる。足へと魔力を纏わせて瞬時に移動したようだ。とっさの判断で回避できないと悟った彩斗は右拳に魔力を纏わせて少年の拳を迎撃する。
「
走火
(
はしりび
)
──っ!」
「───ッ!」
二つの強烈な魔力の塊が激突し合う。魔力の波動が大気を震わし、体育館の窓ガラスを音をたてながら砕け散っていく。
“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の魔力を纏った拳と互角の魔力を発することができるこの少年は何者なのだろう。
「おまえは……何者だ?」
「俺か? 俺はただの通行人だけど」
偽彩斗は皮肉をこめたよう不敵な笑みを浮かべる。
これも彩斗の口癖だ。いつも自分が言っていることだから気付かなかったが、これを言われるとかなり反応に困ることを身を持って知った。
「通行人が襲ってくるとは物騒な世の中になったものだな」
彩斗と偽彩斗が睨み合う。沈黙が広がる。次にどちらかが動けばまた学校へと被害を及ぼすことになる。偽彩斗のあれほどの速さの攻撃を避けながら戦うのも至難の技だ。
だが、この戦いを少し楽しいと思っている彩斗がいたことに自分でも少し驚いた。
そしてその沈黙を破ったのは、少女の声だった。
「──彩斗君!」
銀色に輝く刀を持った少女が彩斗の頭上から舞い降りた。
「あ、逢崎!」
「こんなところで戦うなんてなに考えてるの彩斗君!」
銀色の刀を偽彩斗のほうから彩斗へと向ける。
「い、いや……その
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