暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
36.暁の帝国
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思わせる幼くも愛らしい容姿に、レースの豪華なドレス。自称二十六歳の彩斗たちの担任教師である。

「な、那月ちゃん……?」

 雪菜は目を丸くして、那月の頭頂部に手を置いた。そしてぐりぐりと那月の頭を撫でさする。

「ホントに那月ちゃんなんですね……まるで成長していない、かも……」

「ほう……ちょっと見ない間に、ずいぶん偉そうな口を叩くようになったな、転校生?」

 那月が握っていた扇子を振った。額の真ん中にヒットする。
 あうっ、と雪菜が大きく仰け反る。

「貴様……この感触は……」

 額を押さえてうめく雪菜を睨みつけ、那月は、おもむろに彼女の胸へと手を伸ばす。

「ちょ、駄目です! やめてください……!」

 那月に思いっきり胸を揉みしだかれた雪菜が、身をよじりながら悲鳴を上げた。

「な、那月ちゃん……公衆の面前で流石にそれは……!」

 担任教師の暴虐を見かねて、古城が無理やり彼女たちを引き離した。
 那月は、ちっ、と舌打ちして古城を見る。雪菜は両腕で胸元を庇いながら、ホッと息をついた。
 そのとき、彩斗はわずかな違和感を思い出した。
 先ほど飛びつかれたときにもわずかに感じていた違和感。雪菜の胸のサイズが大きくなっている気がする。彼女の胸はあそこまでがっつり揉めるほど大きいものではなかった気がする。
 古城にでも揉まれたのか、と適当に解釈してからようやく彩斗は立ち上がった。

「あ、雪菜ちゃん! ずっと学食で待ってたのに、こないだから心配したよー。あれ、古城君と彩斗君? 矢瀬っちも久しぶりー!」

 不意に近くで騒々しい声がした。
 それは中等部の制服を着た少女。ショートカット風に無理やりまとめた長い髪が、動きに合わせて揺れている。

「凪沙?」

 慌ただしく駆け寄ってくる古城の妹に、彼は小さく溜息をつく。

「え? 凪沙おばさん!? 若……っ!」

「お、おば……!?」

 出会い頭の雪菜のひと言に、凪沙がショックを受けたように立ち止まった。

「ひ、ひどいよ、雪菜ちゃん……たしかに凪沙はよく喋りすぎて田舎のおばちゃんみたいってたまに言われるたりするけど……!」

「あ! ち、違うの、おばさん、今のは……そういう意味ではなくて……」

「ほらまたおばさんって言った!」

 雪菜のおばさんと呼ばれたショックで凪沙が落ちこむ。

「うう……浅葱ちゃんどうしよう……!」

 動揺で足元をふらつかせた凪沙が、隣にいた友人にすがりつく。
 弱った猫のように甘えてくる凪沙を、よしよしと抱き留めたのは、高等部の制服を着た女子生徒だった。校則ギリギリまで飾り立てた制服に、華やかな髪型。そんな彼女の姿に気づいて、雪菜が驚愕の
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