暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
36.暁の帝国
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!?」
つんつんに逆立てた髪を押さえて、焦った口調で言い返す矢瀬。きにしてたのか、と古城が少し意外に思っている。彩斗は口元を押さえて必死に笑いをこらえる。
そういえば、雪菜には未来を視ることができる“未来視”がある。将来が楽しみだと密かに思った彩斗だった。
「す、すみません。でも、髪の毛を染めたりするのは、少し控えたほうがいいかと……その、頭皮へのダメージが」
「た、たしかに絃神島は紫外線もきついしな」
矢瀬が真顔で雪菜の忠告に考えこむ。
しかし若干、ズレた会話に違和感を感じる。
「どうしたんだ、姫柊? さっきから変だぞ」
古城が雪菜の額に手を当てた。
雪菜はきょとんと見返して、少し面白そうに唇の端を上げる。
「え……と、先輩? わたしに触ってます?」
「ああ、悪い。気に障ったか?」
「いえ、全然。ただちょっと、聞いていた話と違うなって思って……わたしたち、普段からこんなふうに仲良くしてました?」
興味深げに訊いてくる雪菜に、矢瀬が重々しくうなずいてみせた。
「そりゃあもう。いつもいつも人前でいちゃつきやがって古城死ね、ってみんな思ってるから」
「みんなっつーか、おまえの個人的な感想じゃねーかよ」
古城が顔をしかめて言い返す。それから古城は、声を潜めつつ雪菜の耳元に唇を寄せた。
なにやら会話をしているようだが、ここからでは聞きとれない。全部の会話を聞きたいところではあるが、矢瀬がいるので公には言えないのだろう。
本当は、矢瀬は知ってるのにな。
「そろそろ、腹減ったから先に買いに行こうぜ、矢瀬」
面倒くさげに頭を掻きながら学生食堂の扉に手をかけた。
「おい、ちょっと待てよ、彩斗」
「……彩斗? って彩斗君!?」
雪菜の声に振り向くと彼女がこちらに飛びついてくる寸前だった。
避けられるような距離でもない彩斗は、そのまま雪菜に押し倒されるような形になる。
「ひ、姫柊!?」
柔らかな彼女の肌の感触が服越しに伝わってくる。
するといつものように初めに頬が紅潮していき、そのまま赤みが顔全体をおおっていく。
「本当だったんですね。ちょっとしたことでも顔を赤くしちゃうっていうのは」
悪戯をし終わった少女のように雪菜は、無邪気な笑みを浮かべながら彩斗の上から退く。
その直後、冷ややかな声が聞こえてくる。少し舌足らずでありながら、奇妙な威厳とカリスマ性を感じさせる口調だ。
「──なにを騒いでいる。バカども。こんなところで発情されると、通行の邪魔だぞ?」
「発情してねーよ! 教師のくせになに言ってんだあんたは!?」
古城が叫ぶ。その先にいたのは南宮那月だ。西洋人形を
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