第1話
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すぐに扉が開きはやてが部屋に足を踏み入れると、
正面のデスクの向こう側に座るヨシオカと目があった。
「久しぶりだな、八神」
「はい、ご無沙汰してます」
ヨシオカのデスクの前に立ったはやては淡々と挨拶を交わす。
はやては自身の抱える案件についての情報収集や難度の高い容疑者捕縛任務を
依頼するために、ヨシオカとは何度も会ったことがある仲であった。
「座ったらどうだ?」
はやてはヨシオカの言葉に黙して頷くと、デスクの前にぽつんと置かれた
木製の椅子に腰を下ろした。
そして僅かにうつむき加減になり小さく息をついたところで、
デスクに肘をついたヨシオカがグッと身を乗り出してくる。
「で? シュミットが欲しいのか? お前が作ろうとしてる部隊に」
ヨシオカが単刀直入に本題を切りだしてきたことに面食らいつつ、
はやては顔を上げて不敵な笑みを浮かべるヨシオカの顔を真っ直ぐに見た。
「ご存知なんですね。 私が部隊を新設しようとしてること」
「当然だろう。 俺を誰だと思ってる」
不敵な笑みを崩すことなく、ヨシオカはふてぶてしさを感じさせる口調で語り
はやてのほうに乗り出していた自身の身体を自らが座る椅子の背に預けた。
「部隊の所属は古代遺物管理部。 後見人にはグラシア少将とハラオウン提督。
さらには伝説の3提督の後援も得ている。
特にクローベル統幕議長はずいぶんと乗り気らしい。
しかも、空のエース・オブ・エースを始めとしてその戦力は1個部隊としては
異常とも思えるほど高い。 そんなところか?」
「そこまでご存知とは。 いつもながら恐れ入りますねぇ」
補足を入れる隙もないほどの情報量に驚きながらも、はやてはそれを
顔に出さないように注意を払って応じた。
「で、くれるんですか? ゲオルグくん」
はやては、ヨシオカに倣って単刀直入に訊いた。
するとヨシオカは顔面に貼り付けていた笑みを消し、鋭い目をはやてに向けた。
「それは俺が決めることじゃない。 シュミット自身に決めさせる。
だがな、俺自身は渡したくないと思っている」
「なんでですか?」
「失うには惜しい人材だからだ。 アイツはウチの任務にピッタリのヤツだよ。
我慢強く、慎重で、決断力があり、任務に私心を持ち込むことがない。
潜入・暗殺・強襲、いずれの任務もソツなくこなしてくれる。
命令には忠実、部下には寛大、状況の変化にも柔軟に対応できる優秀な指揮官だ。
誰が好き好んでアイツを手放すものか」
そう言って、ヨシオカは憮然とした表情をみせた。
はやてはその言葉を何度も頷きながら聞いていた。
ヨシオカが話し終えると、はやては感じていた疑問をぶつけた。
「ゲオルグ
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