泥を踏み抜き光を求む
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に挟んだ話が一つありますの。張コウさんと夕さんに対する監視の目は厳しいようですから、あなたに頼み……いえ、あなたの友であり主である“麗羽”として命じます」
「……っ! なんで……しょうか……」
驚き、訝しげに聞き返した斗詩は、
「沮授さんの病を治せる人が居るかもしれない、とのことです。場所は……西涼。間者と斥候を上層部と郭図さんにバレないように送り、“華佗”という人物を捕えて連れて来させ、沮授さんの治療をさせなさい。もしかしたら郭図さんも既に動いているかもしれませんから、華琳さんとの戦と同時進行で行きます」
「は、はいっ! 必ずや成し遂げてみせます!」
麗しい唇から零された言葉に……歓喜の色を浮かべた。
誰かに言われたわけでなく、自発的にそれを命じたのだ。そこにいるのは間違いなく友で、自分の主だった。
「わたくしも、わたくしの王佐も、斗詩さんと猪々子さんの二人も、儁乂さんも……全て、この華麗なる袁本初、そしてこれから雄々しく美しく羽ばたく“麗羽”が掬い上げてみせますわ! 袁家を……変えますわよ!」
昼下がりの東屋で、声を抑えた麗しい宣言が上がる。
開けた場所のおかげで誰にも聞かれる事は無く、彼女は堂々と、本物の当主になると天に示した。
「おーっほっほっほ!」
いつもと変わらない、されども芯の通った、優雅な高笑いを添えて。
蛇足 〜彼女の苦手な人〜
「あーもう! 抱きつくな! うざい!」
「斗詩に追い払われて寂しいんだ。だからあたいに構えー」
遅れて昼食を食べていた明の元に辿り着いた猪々子は、のしっと背中にもたれてにやにや笑いを浮かべていた。
言いながらも食事を取り続ける明は、何処に監視の目があるか分からない為に、ツンケンとした言葉を投げつける。
「知るかっ! どっかいけ貧乳百合猪!」
「ぐぬぬ……ちょっと胸がでかいからっていい気になるなよ? そんな事言う明には……こうしてやるっ」
言葉と同時に、猪々子の白い両の手が明のたわわな胸を揉み始める。
カラン、と箸が落ちた。カタカタと椅子が脚を鳴らす。
「ひゃん! なんっ……昼間っからっ……んっ……」
「おおう……斗詩とは違った心地よさが……たまんねぇ……」
「やめっ……ぁんっ、やめろって……ばかぁ……」
「むふふ、そうは言いながらも嫌じゃないんだろ? あたいに全てを任せてくれていいんだぜ?」
いちゃいちゃと繰り広げられる百合の園。
昼過ぎである為に食事をとっていた他の文官や武官達は少ないが、男の誰しもが、その刺激的な光景に思わず前かがみになっていた。
「斗詩の胸で鍛えたこの手なら、明
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