泥を踏み抜き光を求む
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多分、“あいつら”のせいだ」
「……」
背中で吐露された気持ちを受けていた。
ああ、やっぱり……心の中で呟きながら。
「あたいは明を……友達だと思ってる。どんな事があったのか知んないけど、“あたいが”友達だと思ってる。バカだからさ……なんにもしてやれないし、考えてもやれないけど……あー、わかんない! めんどくさい!」
叫んだ。心に渦巻くもやもやとしたモノを言葉に出来ずに、苛立ちを口から放った。
がしがしと頭を掻いた猪々子は、がっしと、背を向けている明の肩に腕を掛けた。
「難しいこと分かんねぇ! とりあえず明にうざいって言われてもあたいはこうする! それでいい!」
そうしてがはは、と男勝りに笑う。
横目でそれを見ていた明は、クスリと、小さく笑った。
「何さそれ? もういいや、めんどくさい」
聡い明は、猪々子がどんな事を想っていたのか気付いた。
ほんの少しだけ、心に温かさが灯った。
ずかずかと他人の領分に踏み込んで押し付けてくる彼女は、読み取って傍に居てくれる夕とは全くの逆だった。うっとおしいのに、めんどくさいのに、払いのけたいのに、やはり前と同じでそう出来なかった。
――悪くない、なんてさ。あたしの方がバカ。絶対どっかで切り捨てるのに、さ。
本当に、本当に少しだけだが……明の腹は膨れた気がした。
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