白銀天魔 振るう力
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た。
アルカは息子だ。彼相手に杖を向ける事には僅かだが抵抗はある。が、アルカは息子であると同時にエストの敵だ。手を抜く理由なんてない。
だからエストはアルカを“敵”と見る事に決め、普段戦うように戦っているつもりだったのだが……。
「手なんて、抜いていたかな……?」
「気づかれてねえとでも思ってたのか?ギルドでじーちゃん相手に杖を向けた時と比べて、杖の先に集まる魔力が少ない事に」
不思議そうに杖を眺めるエストを、苛立たしげにアルカは睨む。
その両手に炎の剣が握られ、苛立ちが具現化されるように剣が大きくなっていく。
息子のつり気味の目に見える怒りと苛立ちを見たエストは、どこか悲しげに目を伏せた。
魔水晶の欠片が辺りに落ちている部屋。
12の台座のうち、魔水晶が置かれているのは2つだけ。
その欠片を足で退かしながら、血塗れの欲望のギルドマスター、シグリット・イレイザーは、部屋中に展開する魔水晶映像を眺めていた。
「あと2人…ふふ、計画は順調に進んでいるわね。まさか天秤宮が妖精の尻尾側につくとは思わなかったけど、大した問題じゃないわ」
赤い髪がふわりと揺れる。
音1つ立てず椅子に座ったシグリットは、真正面にある魔水晶映像に目を向けた。
そこに映るのは、耳を塞ぎ苦しそうに息をする少女。
この計画で誰よりも大事なポジションを担う、この争いの中心とも呼べる巫女。
チラリと上に目を向ければ、デジタル時計のような文字盤が時を進めていた。
表示される残り時間は―――――――1時間00分25秒。
「もう少しで全てが終わる……それまでは閉じ込められていてね、ティア嬢。私達の計画は、貴女にも幸せな結果を与える事が出来るのだから」
灰色と白銀がぶつかり合う。
片方は竜を滅する風。灰を巻き込み灰色に染まる。
片方は悪魔を滅する風。聖なる象徴であるように白銀に輝く。
「灰竜の鉤爪!」
「うくっ」
本来なら白銀の風を振るうはずのポワソンは、灰色の風を纏った足で蹴りを放つ。
それを喰らい痛みに表情を歪めたココロは、風を操り後方へと跳んだ。
「天魔の荒翼!」
「ぐっ……きゃああああああ!」
本来なら灰色の風を振るうはずのココロが、両腕を振るう。
両腕を翼に見立て振るう動きは、天魔の翼覇に似ていた。
この2つの違いは?と聞かれれば答えにくいが、翼覇に比べ風が荒々しく広範囲を狙いとしている。
防御態勢を取ったポワソンだったが、結果として痛みを覚え吹き飛ばされた。
「灰竜の螺旋燼!
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