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Element Magic Trinity
白銀天魔 振るう力
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浮かべる余裕を残し、魔法陣から漆黒の毛に銀色の瞳の番犬ガルムを呼び出した。

「行け」

短い言葉と共に放たれた、エインヘルヤルを見事に回避しながらクロノだけを狙う球体をガルムの目が捉える。
タン、と軽い動きで飛んだガルムは――――ぱくり、と球体を銜え、呑み込む。

「!」
「ガルムは伝説上、魔軍の有力な一員として神々の軍政と戦い、チル神と壮烈な死闘を繰り広げて相討ちになった。知ってるか?チル神ってのはギリシア神話のゼウス、ローマのユピテルなんかと同一語源の神名を持ち、戦争や契約、法の守護者として北欧神話の最高神オーディンと並ぶ最高神と見なされていた」

何事もなかったように軽い動きでクロノの元へと戻ってきたガルムを一撫ですると、ニヤリと口角を上げる。
黒い光となってガルムが消え、クロノは続けた。

「アイツはそんな最高神と戦って相討ちになるような奴だ。テメエの罪の1つ程度、呑み込むくらい訳ねえよ!」

ジョーカーの表情が歪んだ。
対するクロノの表情は清々しい――――というか、完全に楽しんでいる。
……“楽しんだモン勝ちだぜ!”と背中に書いてある気がした。勿論書いてないが。

「クロノさんってこんなに強い人だったんだ……」
「意外ね」
「そりゃそうだよ」

驚いたように呟くウェンディとシャルル。
まあ確かにあの、評議院第一強行検束部隊隊長なんてポジションにいる人には見えない(少なくとも、制服を着ていなかったら気づかれない)見た目だけを見ていれば、驚くのも無理はないだろう。
そんな2人に、レビィが笑う。

「普段は普通だけど、戦い始めれば凄いんだから!最強候補だったラクサスと互角に戦う程にね」
「おいレビィ、それじゃあまるで普段のオレが凄くないみたいだろ?」

やれやれ、と肩を竦め笑うクロノ。
こちらが呆れたくなるほどに、彼にはまだ余裕がある。
それは、ある意味では当然だった。
最愛の妹を助ける為――――――彼は、負ける事を許されないのだから。











ブオン!と空気を裂く音が耳に飛び込むと同時に振り下ろされた炎の剣を、エストはヒラリと避けた。
常人なら持つどころか指一本触れられないであろう炎の剣を慣れたように握りしめるアルカは、炎の剣を空気中に溶け込ませるように消し、次の手を打つ。

大地猟犬(スコーピオンハウンド)!」
「…水流」

土で構成された無数の猟犬を、エストの杖の先から放たれた水が押し流す。
間一髪で炎の翼を生み出し飛んでいたアルカは水が消えると同時に着地すると、苛立たしげに呟いた。

「……何で」
「え?」
「何でさっきから手ェ抜いてんだよ、テメエは!」

手を抜いている。
そう言われても、エストはピンとこなかっ
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