第七章
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第七章
彼女が戻って来た。しかしだ。
やって来たのはだ。ゴスロリの彼女ではなくだ。彼が好きだったもう一人の相手だ。白服の彼女が微笑んでやって来たのだ。
「お待たせ」
「お待たせってことは」
「そうよ、私よ」
こう言ってであった。
「凛よ」
「全然違うね」
「けれどどっちの私も見てくれてたわよね」
「うん、それはね」
その通りだという将暉だった。
「その通りだけれど」
「だから。待ってたのよ」
「このデートを?」
「そう、人は自分を本当に好きな人を好きになるものじゃない」
相手が好きなら自分もというのだ。無論その逆もある。
「だからね」
「それで今もこうして」
「そういうことよ。それにしても」
「それにしても?」
「本当に全然違う服装だったのに」
凛が今度言うのはこのことだった。
「それでも私だってわかったのね」
「あっ、うん」
まさかここで別人と考えていたとは思わなかった。それでの言葉だった。
そうしてだ。彼は言うのだった。
「まあ。好きだから」
「有り難う。じゃあこれからもね」
「うん、これから?」
「どちらの私も宜しくね」
笑顔で言う凛だった。
こうして将暉は凛と付き合うことになった。彼は何時の間にか両手に花ということになった。相手は一人でもだ。そうなったのである。
二者択一 完
2010・11・5
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