第六章
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第六章
何とだ。あのもう一人好きだった黒いゴスロリの少女が将暉のところに来てだ。こう言ってきたのである。
「こんばんは」
「えっ、君は」
「はい」
こう言うのである。態度はおずおずとしたものだった。
「あの、私は」
「あの、まさかと思うけれど」
将暉は事情を察した。そして彼女に言うのだった。
「凛さんだよね」
「はい、そうです」
その通りだというのだ。
「ずっと私のこと見てくれてましたよね」
「うん、それはね」
その通りだと答える。どちらもだ。
「ううん、それにしても」
「ギャップが凄いですか」
「うん、とてもね」
「けれどどちらの私も好きでいてくれてましたね」
凛がここで言うのはこのことだった。
「そうですよね」
「うん、それはね」
その通りだという彼だった。
「その通りだよ」
「どうもです。それで」
「それで?」
「どちらの私も見てくれてましたから」
それでだとだ。凛は話す。
「縁があればと思ってました」
「それはわかったけれど」
「わかったけれど?」
「いや、何でそうして対象的な格好してるのかな」
彼が言うのはこのことだった。
「それは」
「どちらの服も好きですから」
それが理由だった。
「ですから」
「それでだったんだ」
「いけませんか?それは」
「いや、いいよ」
それはいいという彼だった。そうしてだ。
そのままゴスロリの彼女とバーで飲むのだった。彼にとっては幸せな結末だった。相手は一人だがまさに両手に花だった。
二者択一 完
2010・11・5
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