第七十九話 North Pole Area
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ない』
冷然と言い放つ上司を彼女は必死になって止めた。
部屋から出ようとする上司の前に立ちはだかり、出口を塞ぐ。
エイリア『行かせません。…処分の決定が覆るまでは』
『………』
上司はしばらく彼女を見つめていたが、ふと視線を落とし、鍵を取り出した。
ヴォルファングが処罰を受け、収容されている施設の鍵だ。
『どうしてもと言うなら、彼を収容所から脱獄させればいい。ただ君の降格は免れないがね』
エイリア『ありがとうございます』
エイリアの胸に希望の灯がともった。
同僚に悟られないように、収容所に向かい、ヴォルファングを連れ出した。
北極エリアと他国を繋ぐ港まで急ぐ。
エリアを出てしまえばヴォルファングの足取りを探るのは難しい。
ヴォルファングは腑に落ちない顔でエイリアの後をついていく。
エイリア『私はあなたを助けたいの。あなただってこの世に生み出された、たった1つの命だもの。死なせたくない。生きることで罪を償って…それが彼の魂の救いになる』
命、魂。
エイリアは当時その存在を信じていた。
親友の影響があったのも否定は出来ないが、この時までは彼女は“夢”を持つレプリロイドであった。
出港直前の船にヴォルファングを乗せる。
ヴォルファングはすまなそうな、同時に安堵した顔で船に乗り込んだ。
船がゆっくりと北極の海を出港し、全てが終わったと思われた。
…しかしヴォルファングは処分された。
船に戦闘型レプリロイドが潜んでいたのだ。
レプリロイドはヴォルファングを射殺すると冷たい海に突き落とした。
エイリア『ヴォルファング!!』
突き落とされ、宙に投げ出された彼にエイリアは叫んだ。
ヴォルファングは白い水しぶきを上げて海に呑まれていく。
全ては仕組まれていた。
彼女がヴォルファングをおびき出し、彼を死なせた。
彼を“処分”したのだ。
その日以来、彼女は“夢”を見なくなった。
エックスはエイリアから聞いた話に驚くのと同時に納得した。
エックス「(最初の頃のエイリアはとっつきにくかったからな…)」
ルインと共にいる時以外はどこかエイリアに対してドライというか冷たい印象を受けていたエックスは過去のことが影響していたことを知る。
エイリア「笑えるでしょ?助けようとしていたのに、逆に殺してしまうなんて…」
自嘲の笑みを浮かべるエイリアにエックスは彼女の肩に手を置いた。
エイリアはエックスの方を見ると、エックスは僅かな哀れみもないとても優しい目でエイリアを見つめていた。
暖かな印象を受ける翡翠の目に引き寄せられる感覚を
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