暁 〜小説投稿サイト〜
機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第一部 刻の鼓動
第三章 メズーン・メックス
第四節 離脱 第四話 (通算第59話)
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
。すかさず、ランバンが追従して逆方向に動く。
 この辺りの呼吸はさすがに士官学校からの付き合いなだけはある。カミーユの意図を理解しているというよりも、反射的行動という方がランバンには相応しい。レコアからみれば二人とも素人に毛の生えたようなものなのだが、レコアとてエースパイロットではない。だからこそ、自分がやらなくては…という意識は強く出てしまう。
「カミーユ!大尉から『荷物』を受けとりなさい!」
 この場のレコアの判断は正しい。レコアはランバンとバディを組んで《クゥエル》に火閃を集中させようというのだ。だが、戦場というのは正しいことが正解ではない。敵の予測範囲内であれは、逆に追い詰められる結果にしかならないからだ。
「あぁぁぁーっ!」
 前に出たレコア機が狙い撃ちされた。爆発は小さいが、直撃である。《リックディアス》の左肘から先が、完全になくなっていた。集団戦に馴れた《クゥエル》は《リックディアス》の軌道を読んで砲火を集中させていたのだ。レコアの被弾を見たカミーユが咄嗟にライフルを連射する。彼我の有効射程距離に差はない。
「レコア中尉!」
 後退させる隙を作るためにも、カミーユは敵との相対距離を縮めた。《ジムII》のバックパックに備えられている四基のメインスラスターを全開にして、火閃を生じさせている《クゥエル》の一団へと突貫した。
「カミーユ!後ろは任せろ!」
 レコアの組んだオーダーに従うならランバンがインターセプター、カミーユがレセプター、レコアがストライカーである。だが現実は計画通りにはいかない。ランバンは見掛けによらず近接戦――射撃が得意であり、カミーユの方が格闘戦が得意だった。
 だが、所詮は《ジムII》である。どれ程カミーユが上手く機動し、限界性能を引き出したとしても《クゥエル》には余裕があった。カミーユの《ジムII》が挟まれた、その時、戦場に一条の赤い閃光が走った。
 レコアにガンダムを預けたシャア――クワトロ・バジーナの《リックディアス》だ。機動性も推力もレコアの機体と変わらない筈なのに速い。AMBACの制御と機動の掛け方でこうも差がつくものなのか?
 瞬く間に《クゥエル》に直撃を与える。まるで敵の動きが先に見えているかのように、高機動中の機体から、機動中の敵機を狙撃していた。一撃、二撃。一機は《クゥエル》のコクピットを貫かれて爆散し、もう一機は頭部を吹き飛ばされて後退した。
「すげぇ!」
 思わずランバンが感嘆した。
 今、戦場を赤い《リックディアス》が支配していた。プレッシャーとでも表現すべき気配が、シャアの機体から蜘蛛の糸の如く放出され、それに絡めとられた者たちが、ことごとくビームピストルの餌食となる――武器をもたない《ガンダム》に乗ったメズーンはそんな感想を抱いた。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ