暁 〜小説投稿サイト〜
機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第一部 刻の鼓動
第三章 メズーン・メックス
第四節 離脱 第三話 (通算第58話)
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
た顎――戦慄と恐怖を戦場に撒き散らす、連邦の《白い悪魔》と瓜二つの顔。《ガンダム》を強奪するという話はでていたが、あくまで『できれば』という話であり、レコアは現実に目の当たりにするとは思いもよらないかった。
「《ガンダム》……!!」
 レコアは絶句した。凍りついたように声がでない。
 衝撃とともに、一年戦争中に見たニュースの記憶が甦ってくる。
 直接戦った訳ではないが、歴戦の猛将モラード・コンスコン少将の指揮する第十八機動戦隊が、《ガンダム》一機相手にたった三分で十二機の《リックドム》を失い、乗艦もろとも爆死した様はサイド6のニュースで報道された。サイド3では報道管制され流されなかったが、グラナダの軍籍をもつ者は誰もが見た映像である。それは、まさに人を超えた――ニュータイプの神業だった。
「〈チャンピオン〉より〈クイーンビー〉へ。レコア中尉聞こえますか?」
 カミーユからのコールサインで我に返ったレコアは慌ててレーダーを確認して、追撃してくる敵の有無を確認する。敵がいれば既に攻撃を受けている筈だが、念には念を入れて置かねばならない。
 追撃してくる機体は確認できなかった。
 となれば、追撃機がいないことと、その場にシャアがいないことは容易に結び付く。シャアが囮となってアポリーたち――いや、滷獲した《ガンダム》の確保を優先したのだと解る。この辺りの勘は利くのがレコアという女であった。
「〈スペースシャーク〉から〈クイーンビー〉へ。レコア、こっちはいい。大尉のお出迎えをしろ。あっちはお客さんつきの上にお荷物を背負ってる」
「了解! 〈クイーンビー〉より各機へ。クワトロ大尉帰艦の周囲警戒にあたれ」
 そこで一旦言葉を切るり、口調を変えて「大尉のお客さんよ、援護は不要!荷物を受け取ったら防衛ラインを下げて艦の直掩につきなさい」と言い放った。まるでボーイスカウトの引率の気分だが、従うのは学生気分の抜けない正規パイロットである。頭を抱えたくなりもするが、シャアから任された以上、疎かにすることはできなかった。
「散開っ」
「了解」
 レコアを中心にトライアングルフォーメーションで三機は《アーガマ》の前方に進路を取り、第二合流ポイントへと急いだ。合流時刻まで既に十分を切っている。レコアの心は一足先に合流ポイントに翔んでいた。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ