プロローグ
TURN-00『新たな世界へ』(2015/05/07改稿)
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だから仕方がない。
暗闇の件は一先ず置いておくとして、どうしてこんな場所にいるのか≠ノついて考えることにしよう。
「えっと、俺は確か‥‥いつもどおりの時間に起きて、いつもどおりの時間に登校して──」
俺は腕組みをして、必死に記憶を辿る。
自分が思い出せる限り最新の──取りあえず今日の朝以降の記憶を漁る。
そうしているうちに段々と、今度は記憶が鮮明になったきた。
「いつもどおり授業が終わって、いつもどおり学校から帰ってて‥‥それで──‥‥っ!!」
瞬間、ほんの刹那、俺の体に激痛が走る。
あまりの激痛に気を失いそうになったが、なんとか持ち堪えたため、倒れることはなかった。
しかしその激痛をきっかけに、俺の記憶は完全となった。
「そうだ‥‥俺、学校帰りに‥‥車の前に飛び出した子供を見つけて‥‥」
──その子を助けるために、俺は車道に飛び出した。
その後、泣きじゃくってる子供が目に映ったから、たぶん子供は助かってる。
でも、俺は──
「俺は‥‥死んだって事か‥‥」
さっきの激痛は、たぶん車に激突した時の衝撃だろう‥‥。
かなりの速度だったし、生身でアレを受けたら‥‥まぁ、間違いなく死んでるだろうな。
「‥‥って事は、ここは天国──いや、まだ天国行けるって決まってる訳じゃないから三途の川か‥‥。いや、見たトコ川らしきものは無いから‥‥三途の広場‥‥とか?」
自分でもくだらないボケだと口にしてから後悔したが、まぁ、平たく言えばあの世≠チてことだろう。
そんなことを考えている俺は、自分でも驚くほど冷静だった。
死を完全に受け入れてる訳じゃない。
現世に未練だってあるし、たった17年の人生で満足なんてできる筈もない。
もっと友達とも遊びたかったし、彼女とかも作ってみたかった。
‥‥まあ、あんまりモテなかったけど。
結婚もしたかったし、子供も‥‥もっと言えば孫の顔だって見たかった。
そして家族に見守られながら、最後の瞬間を迎えたかった。
その上で俺が冷静なのは、事故に遭いそうだった子供を助けられたからかも知れない。
前に学校の先生に言われたことがある。
『お前らには無限の可能性と未来があるんだ』とか何とか。
今時にしては珍しい、とてもくさいセリフに思えた。
けど、不思議と胸に響いたことを覚えてる。
今でもこうして思い出せるくらいには、胸に留めているんだ。
そんな先生の言う可能性≠ニ未来≠ヘ、俺が助けた子供にだって当てはまる事だ。
もしかしたら、俺なんかよりずっと素晴らしい道を歩いていくかも知れない。
──俺が代わりに死ぬ事で、その子がその無限≠ヨと歩いて行けるなら‥
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