第二十話 錬金術その十八
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「ルールはない」
「だからそこは勘弁してくれよ」
足を攻めたことは、というのだ。
「そうした勝負だからな」
「別にいい。しかしだ」
「足を攻めたことはか」
「フットワークにダメージを与えてな」
そして、とだ。薊はいつもの微笑みと共に怪人に話した。
「そこからケリをつけたんだよ」
「そういうことか」
「そしてそれが上手くいったな」
「確かにな。我はまず足をやられ」
実際にだった、それは。
「そこから決着をつけられた」
「そういうことさ」
「そうか。強さだけでなくか」
「タイプもだよ」
ここでまた言う薊だった。
「それもわかってこそなんだよ」
「そういうことか。貴様は頭が回るな」
「褒め言葉かい?」
「そう思っていい」
「照れ臭いからそれはいいさ」
褒め言葉、それはというのだ。
「それはな」
「わかった、しかし勝ったのはだ」
「あたしだね」
「それは誇れ、では我はだ」
「消えるんだね」
「これでな、さらばだ」
こう言ってだ、そしてだった。
怪人は灰になり消えた、薊はこの闘いでも勝利を収められた。そしてその同じ刻に。
向日葵は猪の怪人と闘い続けていた、怪人の一撃離脱の突進を何度も何度もかわしながら弓矢を放つがだ。
そう容易にはいかなかった、それで。
ダメージも受けてきていた、直撃はかわしているが。
それでもだ、その衝撃を至近で受けていてだった。
身体のあちこちにだ、微かにではあっても。
「ちょっと参ったわね」
「傷が見えてきたな」
「あんたの攻撃はかわしてるけれどね」
「しかしだ」
それでもとだ、怪人は再び突進に入ろうとしながら言うのだった。
「直撃はかわしてもだ」
「衝撃はね」
「受けている、だからだ」
「傷はね」
それが、と言うのだった。
「受けているわね」
「その通りだな」
「ダメージは蓄積される」
怪人はその強い目で向日葵を見つつ言う。
「そしてやがてはだ」
「それが動きにも影響してね」
「貴様は俺の突進をまともに受ける」
「あんたの突進をそうして受けたらね」
どうなるか、それはもう言うまでもなかった。
「まずいからね」
「しかしやがてはそうなる」
「つまり私が負けるっていうのね」
「そういうことだ、覚悟はいいな」
「まあ。そうはね」
しかしだった、向日葵もそのつもりはない。それでだった。
怪人に対してだ、明るい笑顔でこう返した。
「覚悟はしてるけれどね」
「潔いと言って欲しいのか」
「勝つ覚悟をね」
それをというのだ。
「してるわよ」
「今度はジョークか」
「私も冗談は好きだけれどね」
それでもだというのだ。
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