第二十話 錬金術その十六
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その攻撃を防ぎつつだ、こう言うのだった。
「けれどな」
「貴様もか」
「あたしにもやりたいことがあるんだよ」
「やりたいこと。何だ」
「生きてな」
そして、というのだ。薊は怪人の拳をここで再び受けた。
棒から衝撃が伝わる、それに耐えながら言うのだった。
「そうしてあたし自身を知りたいんだよ」
「貴様自身か」
「あたしが何処でどう産まれてな」
そうして、とだ。薊は言っていく。
「そしてな」
「そのうえでか」
「親とか知りたい、あたしが何かを知りたいんだよ」
「そう言うのか」
「そうさ、だから生きるんだよ」
自分自身を知る、その為にというのだ。
「だからあんたとの闘いにもな」
「勝つのか」
「勝って生きるんだよ」
そうするというのだった。
「何があってもな」
「執念だな」
「ああ、執念だよ」
その通りという返事だった。
「あんたには悪いがな」
「悪くはない」
怪人は薊の今の言葉は否定した。
「我も貴様も闘っているからな」
「だからかよ」
「闘いは生きるか死ぬかだ」
「だからだっていうんだな」
「そういうことだ、我が死のうともだ」
それでもだとだ、怪人は語る。
「それは闘いでのこと。悪くとも何ともない」
「そういう考えだからかよ」
「貴様がそう思う必要はない」
そうだというのだ。
「闘いなのだからな、これは」
「そうか、それじゃあな」
「貴様が貴様を知りたいのならだ」
それならば、怪人は薊に言った。
「まずは我を倒すのだな」
「そうさせてもらうぜ、じゃあな」
薊は怪人に楽しげな、不敵な笑みで応えた。そうして。
一旦だ、怪人に対して右足を前に突き出した蹴りを出した、蹴りは怪人にかわされたが。
それで怪人の動きを止めた、そのうえで。
間合いが離れたところでだ、棒をだった。
前に突き出した、すると。
七節のその棒が伸びた、その棒で怪人をさらに攻める。それは一撃ではなかった。
幾度も繰り出す、しかし怪人はその棒もだった。
かわす、怪人はフットワークも見事だった。
しかしだ、薊はその攻撃がかわされる中で笑って言った。
「まあこれ位じゃな」
「勝てぬというのだな」
「ああ、これ位じゃな」
駄目だというのだ。
「勝てないのはわかってるさ」
「そうか、我の力量はわかっているか」
「相手の力量を見極めるのもな」
それもだというのだ。
「強さだからな」
「それでか」
「ああ、そうさ」
それでとさらに言ったのだった。
「それがわからない奴は駄目だろ」
「正論だな」
「そうだろ、それにな」
攻撃を繰り出しながらだ、薊はさらに言った。
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