第七幕その三
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そして、です。お寺の近くに見える大きな、それこそイギリスの田舎にある貴族のお屋敷そのままの見事な洋館を指差して言いました。
「あれでしょうか」
「あっ、あのお屋敷は」
「イギリスのお屋敷ですよね」
「はい、まさに」
そのままとです、先生は加藤さんにやや驚きの声で応えました。
「あれは」
「凄いお屋敷ですね」
「イギリスの田舎にある感じですね」
「貴族の人達のですね」
「ビクトリア時代の趣ですね」
そのお屋敷は、というのです。
「規模は公爵でしょうか」
「公爵さんですか」
「かなりのものですね」
そこまで広いというのです。
「遠くから見ているだけですがお庭もお屋敷自体も」
「確かに大きいですが」
「あの大きさはそれだけのものです」
「ではかなりの数のカワウソさん達がいるでしょうか」
「そうかも知れないですね」
先生は加藤さんに答えました。
「あれだけの大きさですか」
「果たしてどれだけのカワウソさん達がいるか」
「お会いして確かめたいですね」
「そうですね、では」
「はい、今から」
こうお話して、でした。
先生達はそのかなり大きなイギリス風のお屋敷に向かいました。玄関の前まで来てもお屋敷は遠くに見えます。
老馬はそのお屋敷を見て言いました。
「ううん、松山城よりは狭いけれど」
「それでもだね」
「このお屋敷もね」
「うん、広いね」
老馬はオシツオサレツの二つのお口に答えました。
「この目で見ると実際に」
「イギリスでもこんなお屋敷は滅多にないよ」
「ここまでの規模はね」
「本当に大きいよ」
「しかも立派で」
「それにだけれど」
ここで言ったのはチーチーでした。
「どうやって中まで入ろうかな」
「そういえば門番の人もチャイムね」
ジップは玄関のところを見回しました、しかし。
誰もいないしそういったものも見えません、それでなのでした。
チーチーとジップは先生にお顔を向けてそのうえで言いました。
「ねえ先生、どうしよう」
「お屋敷の中にどうして入ろうか」
「門番の人いないしチャイムも見えないけれど」
「どうしたらいいかな」
「そうだね、ここが門だけれど」
しかも正門です、見栄えの立派さからこのことはわかります。
ですが確かに門番の人もチャイムも見えません、それで。
先生も中にどうして入ろうかと考えました、しかしここで。
門の柱の裏からです、柵越しに若い男の人、庭師の格好をした人が出て来ました。それで先生達にこう言ってきました。
「こんにちは、何か御用ですか?」
「あっ、門番の方ですか」
「はい、本来は庭師の一人ですが」
それでもとです、その若い男の人茶色の髪と鳶色の瞳の白人のお顔の人が先生達に応えてきました。
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