第七幕その二
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「イギリス風のな」
「イギリスですか」
「妙に景観が合っておる」
松山に、というのです。イギリス風のお屋敷が。
「これも多分金之助先生のせいじゃな」
「漱石さんのですね」
「あの御仁はイギリスに行っておられたからな」
その時のことも書いています、ただどうにもあまりいい思い出ではなかったみたいですが。当時はよくロンドンを漢字で書いていました。
「だからじゃな」
「それでなのですね」
「そもそも松山も洋風の趣が入っておるしな」
「日本全体がそうですね」
「うむ、だからな」
松山に洋館があっても、というのだ。
「合っておるのじゃ」
「そしてそのお屋敷にですね」
「カワウソさん達がおる」
「では今日はそちらに」
「石手寺にも行くといい」
そこにだというのです。
「あそこも観光名所じゃからな」
「わかりました、では」
「うむ、そういうことでな」
「石手寺に行けばすぐにお屋敷がわかりますね」
「目立つからのう、大きいし」
「大きなお屋敷ですか」
「日本ではそうない位にな」
そこまでというのです。
「大きいしイギリス風じゃからな」
「目立つのですね」
「そうじゃ、石手寺に行かれるといい」
「わかりました、それでは」
こうしてです、先生は長老さんのお言葉に頷いてです、そうして。
動物の皆と一緒に石手寺に向かいました、加藤さんとは石手寺の前で合流しようと連絡を取りました。そうして。
石手寺の方を見ます、するとダブダブがこう言いました。
「あそこに入っても面白そうだね」
「そうだよね」
ホワイティもダブダブに応えます。
「あのお寺もね」
「うん、けれど」
「それは後にしよう」
先生が彼等にこう言いました。
「まずはね」
「うん、カワウソさん達とだよね」
「お話をして」
「それからにしよう、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「カワウソ君達は水辺にいるけれど」
ここで、です。先生はカワウソさん達のこの性質のことを考えて首を傾げさせるのでした。
「温泉の近くにいるのはね」
「水辺じゃなくてね」
「温泉なのが気になるところね」
トートーとポリネシアが先生に応えます。
「温泉好きなカワウソさん達って」
「どうにもね」
「そこが気になるね」
どうにもと言う先生でした。
「そこが」
「確かに。言われてみると」
ガブガブも言います。
「そこが気になるわね」
「そうだね、まあとにかくね」
「うん、お屋敷を見つけよう」
チープサイドのご主人が言ってきました。
「まずはね」
「そうしてお話を聞こう」
「それではね」
「お屋敷でしたら」
ここで、です。先生に加藤さんが声をかけてきました。
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