第四話 四
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「これでおあいこだ」
「ぐっ……」
相手は悠々とそう言い、彼の尻尾を捨てると血のついた汚れた右手を振って、血を落とす。
今まで強敵とナナシは戦ってきたが、間宮はそれを超える程の強さを持っており、彼の実力では確実に歯が立たない。
しかし、彼はそれでも逃げる事はしなかった。死ぬつもりも無い。
尻尾があった切り口からボタボタっと大量に流れる血。
彼は痛みで歯を食いしばりながらも、間宮に向かって駆け、前脚のブレードを振るう。
「ははは、そんな突撃だと同じ目に遭うだけだぞ」
間宮は軽々とブレードを躱すと、今度は彼のそのブレードを掴んでもぎ取る。
ブチブチっという繊維がちぎれたような音を出して、自分の肉ごとブレードは間宮によって奪われてしまい、彼の回し蹴りによってナナシは回避できずに吹き飛ぶ。
それにより窓ガラスに当たって、身体が窓を突き破り、研究所内へと身体を転がされる。
研究所内は様々なカプセルや、事件につかうような機器。そして、何に使うか分からないドラム缶があった。
そして、火気厳禁っと書かれた張り紙。
ナナシはそれを見て、頷いた。
「吹っ飛び過ぎだよ目覚君」
彼は大きく伸びをしたりして、リラックスしながらナナシが中に居る研究所へ足を踏み入れる。
「さてと、そろそろお遊びはここまでだ。もうすぐ馬鹿な兵士達もここへ来るだろう。その前に終わらせようか」
「あぁ…… そうだな、そうしよう…… ところで間宮、一つ質問がある」
「なんだい?」
「不老不死の奴が身体を木っ端微塵にまで吹き飛ばしたらどうなるんだ?」
「さあ、考えた事が無いね」
「そうか…… じゃあ、新しい実験の課題を与えてやるよ!」
ナナシはそう叫ぶと、口を開けて、結月の能力である電撃をゆっくりと貯める。
「しまっ!? おい、よせ!!」
「すまないアリス、また兄さんは約束を破ってしまうみたいだ。雫、約束を守れないですまない。だけど、どうかアリスを俺の代わりに……」
「よせええええええええええ!!」
間宮は先ほどの余裕だった表情が消え、真っ青な顔ですぐにナナシの電撃を止めようと、彼の身体を手刀で貫く。
ナナシは口から血を吐き出し、穴を開けられた身体から血が噴出するも、電撃を貯めるのをやめず。
やがて、ナナシは電撃を放ったのだった。
残してしまった、ただ一人の家族の事を想って。
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