第四話 四
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の子から隠していたのだからね」
彼はそうニヤニヤ笑いながら、話を続ける。
「君は既にほとんどがデセスポワール化し、母はとっくに意識ごとデセスポワールになって殺処分。気づいた健吾は私を殺しに掛かったが、私はそれを見越してあいつに反撃して無力化した後、君の素晴らしいサンプルを使った初の実験体に使わせてもらったよ。結果、忠実なペットになってくれた」
「とことんお前は俺達家族を貶めるのが好きなようだな」
「貶める? 何を言っている、むしろ人類に貢献した名誉な事だよ。君達のおかげで新たなより強くなった適合者が生まれ、しかも、不老不死になる事が出来る。人間が昔から求めていた不老不死だぞ? 素晴らしい事じゃないか」
「それは選ばれた人間だけだろう、もし、お前の作ったウィルスを受け入れない人間が出たら」
「あぁ、化け物に変異する。だが、その時は殺せば良いだけの話だ」
間宮がそう言葉を締めたその時。
ナナシは素早く彼の間合いへ駆け、彼の首筋に喰らいつこうと大きく口を開いて飛びついた。
だが間宮は彼の攻撃を既に見切っており、彼の大きな牙が並ぶ開かれた口を片手で掴むや、地面に叩きつける。
「いきなり襲いかかってくるとは酷いじゃないか、躾が必要なのかな?」
「お前が…… 人間を適合者にする前に俺がお前を、殺す!」
「妙に感情的になってしまったようだね、そんなものを捨てればきっと私の考えに賛同してくれるはずなんだがいやはや残念だ」
彼は全く残念そうに見えない風でそう言うと、ナナシを片手で持ち上げて、空いてる手で注射器みたいな物を取り出した。
「これで暫く眠ってもらうよ」
「果たしてそうかな?」
「ん?」
ナナシはぼそっとそう言い、間宮が首を傾げる。
それからすぐに間宮は自分の腹部に何かが貫いてきた感覚が走ってきて、下を向いた。
見ると、ナナシの尻尾が彼を貫いていた。
ナナシは一瞬の隙を突き、彼に攻撃を当てると、するりと彼の手から離れて尻尾を振る。
そして、彼を壁に叩きつけた。
「これは、油断したね」
ナナシは叩きつけた彼に一瞬で近づくと、その首を飛ばそうと、尻尾の刃を首筋にむけて振るう。
だが、それを彼は左手で掴んで受け止めた。
「いたいな…… 流石に一撃入れられて黙っている私じゃないよ、どうせ君はもう必要ないんだ。ここで駆除するのも悪くない」
彼はそう無表情で淡々と話すと、掴んだ尻尾を右手で手刀の形を作るとそれを尻尾に向けて縦に振る。
「ぐあああああああああああ!!」
間宮の手刀が彼の尻尾を切断し、彼は痛みで苦悶の悲鳴を上げる。
今まで使ってきた尻尾が容易く切り離され、彼の手元でビクンビクンっと痙攣し、やがて尻尾は物言わない肉塊になった。
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