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木枯らしに抱かれて
第三章
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第三章

 そのことについて。私はすぐに尋ねた。
「おばさん貴女に何て言ったの?」
「うん。悲しい時や辛い時はね」
「その時は?」
「誰か。友達がいたら」
 そうだったらと。私に話してくれる。
「二人で公園なり道なりを歩けばいいって」
「二人でなの」
「そう、二人でね」
 今の私達みたいに。言うことはわかった。
「こうしてね。歩けばいいって」
「おばさんがそう教えてくれたの」
「そうなの。それで今もね」
「私をこうして」
「どうかな。今」
 そのことを話してくれてから。また私に問い返してきた。
「少しは楽になった?」
「ええ、少しは」
 そうなったと。私は答えた。
「なったわ」
「そうなのね」
「だから。もう少しだけ」
 私は少し俯いていたけれどそれでも言った。
「ここで歩いていたいけれど」
「この公園でね」
「そうしていいかしら」
 こう言った。
「こうして二人でね」
「いいわ」
 笑顔でだ。私の言葉に応えてくれた。
 そうしてだ。私に言ってくれた。
「そのつもりで誘ったり」
「そう。だからね」
「気が済むまで歩きましょう」
 微笑んで私に言ってくれる。今も。
「少し寒いけれどね」
「寒くないわ」 
 秋も深くなってきて寒さも感じていた。私も彼女もその首にはマフラーがある。そのマフラーにも落ち葉かかかってきそうだった。
 木も葉がなくなってきて枝ばかりになっていて。余計に寒さを感じさせている。
 その公園の道を歩いていても。今はだった。
「だって。貴女がいてくれるから」
「私がいてくれるから」
「ええ。寒くないわ」
 こう彼女に顔を向けて見上げて言った。
「全然ね」
「そう。じゃあこうしてね」
「二人で歩きましょう」
「よかったら。最後は」
「最後は?」
「私の部屋に来て」
 そこに行こうと。私を誘ってくれた。
「そうしよう。それでね」
「二人でね」
「お茶でもお菓子でも何でもあるから」
「二人でそういうのを飲んで食べて」
「忘れて。それから」
「それからね」
「明日からまた楽しくね」
 そうしようと。私に言ってくれる。
「そうしよう」
「うん、じゃあね」
 二人で話してだった。彼女は私をその手で抱き寄せてくれて。笑顔で囁いてくれた。
「男の子だって一人じゃないから」
「そうね。幾らでもね」
「いるわ。それこそ木の葉の数位」
 今落ちてきている葉の数位だった。
「だから明日からね」
「そうね。明日から」
 私もその言葉に頷いた。抱かれてとても暖かかった。
 落ち葉達はその私達の肩に落ちてくる。けれど私達はその落ち葉を今は払わなかった。
 それでだ。そのままだった。二人で。
 歩きはじめる。そうして私の方から。

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