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FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
序章 出会い
Story2 Emerald
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みません!う、嬉しくて、つい・・・」

背中を向けたまま必死に涙を拭う。そしてくるりと正面を向いた少女の顔には、

「ありがとうございます!」

満面の笑みが浮かんでいた。

「ところで、ワシからも1つ良いか?」

とんっとテーブルの上で胡座を掻いて、影のように存在を薄くしていたマスターが少女に歩み寄り、少女の翠玉(エメラルド)色の瞳を下から(マスターの方が、背が小さい為)真っ直ぐ見つめた。少女もきょとんとした顔をしながらもマスターの瞳を上から(少女の方が、背が大きい為)真っ直ぐ見つめた。

「お主には、身寄りの者がいるか?」

マスターの問いに、少女はしばらく何も言わずにマスターの瞳を上から真っ直ぐ見つめていたが、悲しそうな笑みを浮かべると、

「分かりません。」

と答えた。

「記憶が無いせいで、私に親が・・・家族がいたのかさえも、分からないんです。私には、身よりの者はいません。いたとしても、私は知りません。」

少女がそう言うと、マスターはニカッと笑った。

「家族がいない・・・いや、お主の場合は分からないか。家族が分からないならば、ワシ等の家族になれば良い。」
「へっ?」

マスターの言葉の意味が分からなかった少女はマヌケな声を出した。

「このギルドに属している魔道士は、殆どが身寄りの無い者達ばかりじゃ。」
「!?」

少女は視線をナツ達に移した。
ナツ達もどこか悲しそうな笑みを浮かべており、少女に頷きかけた。

「人と人の和で繋がる、楽しい事も悲しい事も共有出来る、それがギルドじゃ。」

そこまで言うと、マスターは視線を後ろにいるナツ達に移す。

「1人の幸せは皆の幸せ、1人の怒りは皆の怒り、1人の涙は皆の涙。1人の心は、皆の心と繋がっておる。お主の記憶も、きっと家族が、すぐに見つけてくれるはずじゃ。」

マスターは再び視線を少女に戻すと、

「悩む事ではない。ずっと1人の孤独な生活と、ずっと家族と一緒の幸せな生活・・・お主はどっちを選ぶ?」

マスターの言うとおり、悩むほどの時間は1秒もいらなかった。

「ずっと、家族と一緒の生活を選びます!」

少女はマスターに向かって深々と頭を下げると、

「私を・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員にして下さい!」

少女がそう言うのを待っていたかのように、マスターは黙って頷くと、ミラを手招きだけで呼び寄せ、自分は再びテーブルの上に胡座を掻いて座った。

「ギルドにはね、「このギルドの魔道士です」という証明が必要なの。それを証明させる為に、体か衣服のどこかに、ギルドの紋章を押すんだけど、どこが良い?」

大きなスタンプを手に持ったミラが笑顔で問い掛ける。
少女はナツ達の紋章や、周りに
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