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FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
序章 出会い
Story2 Emerald
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「あ・・あの・・・た、助けて、くれて・・ありがとう、ございます。」
医務室からひょこっと顔だけを出した少女は、
翠玉
(
エメラルド
)
色をした瞳で恥ずかしげにこちらの様子を見つめる。
いきなりの事にナツ達は視線を少女に向けたままその場で固まってしまった。
「良かった、気がついたのね。」
陽気に少女に声を掛けるミラを除いて。
ミラは長い銀髪を揺らしながら医務室のドアの影に隠れるようにして立っている少女に近づくと、少女の
翠玉
(
エメラルド
)
色をした瞳と視線が合うように腰を屈め、少女の顔を覗き込む。
「恥ずかしがらなくても大丈夫よ。ここにいる人達は、皆気さくな人ばかりだから。」
笑顔でそう言いながら、ミラは少女に手を差し伸べる。
最初少女は何度も目をパチクリさせていたが、ゆっくりとミラの手を握り、医務室からようやく出て来た。少女の肩ぐらいの長さまで伸びた、毛先がくるんとカールした鮮やかな緑色の髪の毛が揺れる。
ミラは少女をナツ達がいるところまで連れて来ると、ようやく少女の手を離した。
少女はナツ達の顔を順々に見回していき、グレイと視線が合うと、驚いたように
翠玉
(
エメラルド
)
色の目を見開くと、
「あぁ、え・・えっと・・・あ、あの時は、すみませんでした!」
「あ、いや・・そんな、大した事じゃねェし。気にするな。」
駅でグレイとぶつかってしまった事を思い出したようで、少女は深々と頭を下げて謝罪する。グレイも苦笑いを浮かべながら少女に顔を上げるように言う。
「ところで、怪我の具合はどうですか?」
「もう痛くない?」
ウェンディとルーシィが、少女の右腕に巻かれた白い包帯を見て心配そうに問う。
「あ、はい。お陰さまで。ありがとうございます。」
少女も一度、自分の右腕に巻かれている白い包帯を見てからウェンディとルーシィに向かってまた深々と頭を下げた。
「あ・・あの・・・ここは、いったい・・・?」
顔を上げてきょろきょろと物珍しそうに辺りを見回しながら、今度は少女が問う。
「ここは魔道士ギルド、
妖精の尻尾
(
フェアリーテイル
)
じゃよ。」
答えたのはマスターだった。
「
妖精の尻尾
(
フェアリーテイル
)
・・・魔道士ギルド・・・じゃあ、皆さんは魔道士の方々なんですね!?」
「何当たりメェの事言ってんだよ。」
「おい、イブキ。」
顔をキラキラと輝かせる少女を見て、イブキはムスッとした顔で呟いた言葉をグレイが窘める。
ギルドの中は老若男女の魔道士達が、「宴」という勢いで真昼間から酒を次から次へと飲み干している。あちらこちらで笑いが起こり、あちらこちらで酒樽やグラス、椅子などが宙を飛んでいる。念の為に言っておくが、ここにいる人間全員が、立派な魔道士である事をお忘れなく。
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