第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
七月二十四日:『涓滴岩を穿つ』
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事件は、終わった……。
………………
…………
……
夜の帳の降りた、崩壊した高速入り口の封鎖区域のある一点に。闇より尚濃い、その『影』は在った。
ごぽり、ごぽりと泡立って。饐えた臭い、撒き散らしながら。
『オ、オオォォォォォノォォォォォレェェェェェェ…………ニンゲン、フゼイガァァァァァァ!』
まるで、暗闇の深海から浮き上がるように……鋼鉄の装丁を持つ魔導書は、闇より沸き上がる。不快な粘塊の如き、闇から。
怨嗟、撒きながら。呪詛、喚きながら。事象の地平線より脱出する際に著しく魔力を散じた為か、言葉すら明瞭ではなく。最早、誰がどう見ても悪性としか見えまい。
「お 困 り の よ う だ ね」
『────────』
なれば、そんなものに気軽に声を掛けた者。それもまた、尋常の者では有り得まい。
その存在、影より濃く。狂気よりも明白な、怪異である。
「手 を 貸 そ う か ?」
鮫の如く、有り得ない笑顔を浮かべながら。深紅の瞳、燃え盛らせて。闇を従える────青き娘など……断じて。
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