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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
35.水精の剛硬
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その直後だった。古城たちの頭上に黄金の光が飛来する。再生を終えた“
賢者
(
ワイズマン
)
”の重金属粒子砲だ。
「古城君!? 雪菜!?」
友妃が銀色の刀を持って駆けた。あの攻撃は第四真祖の眷獣をもってようやく防ぐことのできた攻撃だ。
友妃の力では完璧に防ぐことはできない。それでもあと少し時間を稼げれば古城が復活する。それまでの時間を稼げればそれでいいのだ。
死を覚悟しながら友妃が古城と雪菜を護るように立つ。
「……バカ野郎」
小さく聞こえた声に友妃は胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。
黄金の光が友妃たちに激突する前になにかでかき消される。
神々しい光を放つ黄金の翼だ。それは“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”が従える全ての魔力を無力化する梟の翼だ。
「……悪いな、逢崎。迷惑かけた」
上空の“
賢者
(
ワイズマン
)
”を睨む彩斗がそこに立っていた。
“
賢者
(
ワイズマン
)
”の身長は、数十メートルに達していた。
形は人間のようだが、目も耳もない。滑らかな曲線に覆われた全身に、ニーナの“
錬核
(
ハードコア
)
”によく似た球体が埋め込まれている。
「彩斗君……それ……」
腕の中にいる友妃が不思議そうにつぶやく。彼女が言っている“それ”とは考えるまでもなくわかった。
“
賢者
(
ワイズマン
)
”の粒子砲を一瞬で無へと返した黄金の翼膜。それは、三番目の眷獣である“
真実を語る梟
(
アテーネ・オウル
)
”の翼に酷似していた。しかしその大きさはわずかに小さい。それに黄金の翼は彩斗の背中から生えている。
その感覚は、武器化したときに似ていた。しかし“
真実を語る梟
(
アテーネ・オウル
)
”の武器はマントだ。
「……わかんねぇ」
彩斗は困ったように笑う。
意識を失ってから彩斗は、あの少女と再び会話した。もう彼女とどのような会話をしたかは覚えていない。
それでも最後の言葉だけはしっかりと記憶の中に残っている。
『行ってこい、彩斗!』
その言葉はどこか懐かしい響きだった。
過去に誰かに言われた気がする。
背中を押してもらった気がする。
でも、いまは思い出を振り返る時ではない。目の前の黄金の巨人を倒すだけだ。
覚悟とともに役目を終えたように翼が消失する。
「とりあえず、そこのバカも目を覚ましたことだしな」
「誰がバカだ」
後方からいつもの気怠そうな少年の声がする。
彩斗が意識を失ってる間にこの船を護ってくれた第四真祖の暁古城だ。
「そうだ……叶瀬は!?」
古城が、腕の中に雪菜を抱いたまま訊いた。
「あの……私はここでした」
彩斗たちが振り返る。そこにはなぜか正座している夏音がいた。真っ赤に頬が染ま
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